2022 Fiscal Year Annual Research Report
教皇の世俗支配をめぐる社会運動とリソルジメント:19世紀ニューヨークの事例から
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22J00214
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
林 孝洋 日本女子大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | リソルジメント / 亡命 / イタリア / アメリカ合衆国 / 移民 / イタリア・アメリカ関係史 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の取り組みは、研究史・研究動向の整理と合衆国におけるイタリア系亡命者の活動分析の二点である。まず、第二次世界大戦後から現在までのリソルジメントに関する研究文献を広く収集し、リソルジメント研究の研究史・研究動向を整理した。以上の研究史整理によって、報告者の研究を連綿と続くリソルジメント研究の中に位置付け、自身の研究の独自性・新規性を明確にすることができた。この研究動向は、2022年9月10日開催のイタリア近現代史研究会において報告し、そこでの批判や意見をもとに、内容をより精緻なものにした。この成果に基づく研究動向論文は来年度に公表予定である。 二点目のイタリア系亡命者の活動分析に関して、ニューヨークにおけるイタリア系亡命者の生活世界を再構築する研究を実施した。二次文献を収集・整理することで、研究史上の課題を明確にし、2022年7月16日に開催された京都歴史学工房において、研究計画の報告を行った。また、2023年2月1日から30日間、イタリア共和国ローマにあるリソルジメント研究所Istituto di Storia Risorgimento Italianoにおいて在外研究・史料調査を実施した。イタリア系亡命者に関する多量の手稿史料の蒐集・調査により、リソルジメント期にニューヨークに在住していたイタリア系亡命者の思想と行動の双方を読み解くことができた。また、史料調査だけではなく、同研究所のディレクターであるファブリツィオ・アルベルティ氏とマルコ・ピッツォ博士と研究交流を頻繁に行うことで現地の議論を学ぶことができた。また、両者から貴重書を含む文献を寄贈いただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたイタリア・ローマでの史料調査を実施し、研究の進展に不可欠な史料を入手できた。また研究史とアメリカ合衆国における亡命者の生活世界に関する報告を実施した。しかし、予定していた論文の投稿が叶わなかったことを踏まえ、「おおむね順調に進展している」という評価を下した。草稿は完成しているため、来年度、公表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
イタリアでの史料調査に加え、アメリカ合衆国においても調査を実施したい。また、研究史と研究論文の投稿を目指す。実施期間中に、イタリアに半年から1年程度滞在することで現地の議論を積極的に吸収し、自身の研究を発展させる。
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