2021 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の学校文化史―集合的アイデンティティ形成における校歌の役割
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21J00406
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| Allocation Type | Single-year Grants |
| Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
須田 珠生 立教大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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| Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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| Keywords | 校歌 / 旧制中学校 / 高等女学校 / 新制高等学校 / ジェンダー |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、校歌を「皆で声を合わせてうたう」という行為が、学校や学校を取り巻く地域社会における集合的アイデンティティ形成に、どのようにかかわっていたのかを歴史的な視点から明らかにすることを目的としている。 研究計画の初年度にあたる令和3年度は、北海道内の7地域(札幌、函館、小樽、旭川、釧路、室蘭、網走)に設置された旧制中学校(8校)と高等女学校(7校)、並びにそれらの学校を引き継いだ新制高等学校(15校)を対象として、北海道立図書館をはじめとする地方公共図書館、各高等学校の図書室・資料室で史料調査を実施し、各学校の学校記念誌、学校新聞、生徒会雑誌等を収集した。収集したこれらの史資料を用い、新制高等学校として発足後、校歌の変更を行ったか否かを明らかにすることを通して、戦後の男女共学化に伴うジェンダー意識を検討した。 北海道内では、1950(昭和25)年度よりすべての公立高等学校において小学区制と男女共学が実施されたが、いわゆる伝統校においては、新制高校への転換に際して、旧制中等学校との連関が想起されないような学校名が冠されるなど、旧制から新制への移行に伴い、それまでの伝統を分断するような方策が講じられた。校歌に関しては旧制の学校から引き継いだ校歌をうたいつづける学校も存在したが、それは旧制中学校を前身とする高等学校にのみみられる現象であり、高等女学校を前身とする学校では一切、みられなかった。戦後教育改革によって、戦前の男女別学体制から教育制度上の男女平等が実現したが、内実としては、校歌という学校文化のひとつにさえ、前身校の性差に基づく非対称的な権力構造が入り込んでいたことが明らかとなった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、各地の地方公共図書館や国立国会図書館において、地方新聞の史料収集、雑誌文献の史料調査、収集を行う予定であったが、新型コロナウィルスによる図書館の利用制限の影響を受けたため、出張をともなう史料調査、収集は計画通りには実施できなかった。 しかし、比較的近隣地域での調査は可能であったことから、近隣地域の公共図書館における史料調査、収集、並びに令和4年度に実施を予定していた学校史関連の文献・史料の収集を行った。収集した史料を用いて、論文「新制高等学校の校歌再制定にみるジェンダー意識の表出―旧制中学校を前身とする高等学校と高等女学校を前身とする高等学校の比較―」(『立教大学教育学科研究年報』第65巻、2022年3月、69-89頁)を執筆し、校歌を「声を合わせてうたう」という行為が、学校においてどのような価値を生み出していたのかを分析した。 以上から、本研究課題は、順調に進展していると判断できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は研究計画に従い、第一に、学校と学校の所在地域である行政町村の連携関係を視野に入れながら、学校と地域社会における校歌の機能を明らかにする。くわえて第二に、各学校の図書館・資料室において調査を実施し、学校史関係の文献・史料を収集する。文献・史料の分析を通して、どの場面で、誰によって校歌がうたわれたのかを把握し、各場面の性格を踏まえながら、校歌がうたわれた目的と意図を明らかにしていきたい。
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