2023 Fiscal Year Annual Research Report
光熱効果によるメカニカル結晶材料の多様化と可能性の拡大
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22KJ2879
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
萩原 佑紀 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 結晶アクチュエータ / 光熱効果 / 固有振動 / 熱膨張 / 高速屈曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はまず、室温で負の熱膨張、高温で正の熱膨張を示すサリチリデンアニリン結晶に注目し、分子間相互作用などを詳細に解析することでその原因を明らかにした。また、2022年度にドイツのマックス・プランク研究所のMetin Sitti教授グループとの共同研究で開発した光熱変換材料とのハイブリット結晶について、生体模倣寒天ファントム内での近赤外光による屈曲を実証し、またこのハイブリットの技術が他の結晶でも適用可能であることがわかった。さらに弾性変形するアントラセン結晶について、結晶の先端に楕円状の樹脂やフィルムを荷重することにより、高エネルギー変換効率の大きい光熱共振固有振動を示すことを明らかにした。2023年9-10月にはベルギー・ブリュッセル自由大学のYves Geerts教授グループに研究滞在し、Directional crystallizationという手法により結晶成長方向の揃った多結晶材料の開発を行うことにも成功した。 研究期間全体を通して、あらゆる有機結晶を高速アクチュエーション材料として扱えるようになっただけでなく、シミュレーションにより定量的に屈曲を設計できるようになったため、結晶を実際に応用研究に用いる段階に到達させることができた。特に光熱効果による屈曲のシミュレーション、光熱誘起固有振動による大きく高速な屈曲の発見、光熱変換材料とのハイブリッド化による幅広い波長の光での光熱屈曲の3件は特にインパクトが大きく、研究を推進する上で重要なステップとなった。最後に研究全体を俯瞰する考察として、アクチュエーション材料全体の特性を評価し、比較することで有機結晶の材料としての特徴を考察した。結果、光熱効果や固有振動による結晶アクチュエーションの応用先として、大きい変位は必要ではないが、高速動作の要求されるデバイスやロボットが最適であるという知見を得ることができた。
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Research Products
(8 results)