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2022 Fiscal Year Annual Research Report

三重県における方言アクセントの研究

Research Project

Project/Area Number 22J10082
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

中津 陽菜  早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2024-03-31
Keywords方言 / アクセント
Outline of Annual Research Achievements

筆者は三重県における方言アクセントを記述し、それをアクセント史上に位置付けることを目的に研究を進めてきた。そのプロセスは、大まかにフィールドワークにより先行研究では足りない地域や項目のアクセントを採取し、それを先行研究のデータと照らし合わせながら分析することである。
本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、申請当初に予定していた上半期のフィールドワークが叶わなかった。そのため上半期は前年度までに収集したデータを分析することに集中し、研究を進めた。その結果得られた知見のうち特筆すべきものを以下に3つ挙げる。
1つ目は、多くの京阪式アクセント諸方言において低く平らなアクセントで統一される三拍名詞第6類(「ウサギ・スズメ」など)が、三重県度会郡玉城町においては語によって4つのアクセントで区別されることを指摘したものである。
2つ目は、京阪式アクセント諸地域の若年層において、三拍動詞五段活用第1・2類の連用形アクセントが、先行研究にあまり指摘されない形で区別されることが明らかになったことである。
3つ目は、京都・大阪方言によく似たアクセントを持つとされる三重県志摩市において、二拍名詞第4・5類のアクセントが、同様の近隣方言である旧南勢町や玉城町とは異なる様相を呈すことが確認されたことである。
また下半期には新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着き、2022年10, 11月と2023年2, 3月にフィールドワークを実施した。調査地はこれまでにも調査を行った三重県旧南勢町・玉城町・志摩市に加え、先行研究においてこれらの地域とは少し異なるアクセントを持つとされる旧南島町にも足を伸ばした。その結果、旧南島町において先行研究とは食い違うアクセントが聞かれたほか、上述の1つ目の成果に示した現象が当該地域にも及んでいることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上半期に行ったデータ分析の結果、【研究実績の概要】に述べたような知見が得られ、その点で本研究は順調な進展を見せたと言える。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により上半期のフィールドワークが叶わなかった分、予定していた調査範囲を網羅することができなかった。本研究は先行研究にあまり調査のない地域の方言を対象とする都合上、フィールドワークによってデータを収集することが研究の第一段階となる。そのためこの点においては研究が当初の計画以上に進展しているとは言い難い。以上を勘案して(2)おおむね順調に進展していると評価する。
また、研究の過程で当初予期していなかった発見が複数あった。これらの結果から、それほど詳細に調査する予定のなかった項目もさらに掘り下げて確認する必要が生じた。例えば、玉城町方言において三拍名詞第6類の中に最後の拍内に下降が聞かれる語の一群が発見されたが、同じく最終拍内に下降をもつことのある二拍名詞第5類との関連を知るために、予定になかった、三拍名詞第6類に何らかの述語が後接した際のアクセントについても確認が必要となった。他にも、志摩市における二拍名詞第4・5類は当初調査語を計10語程度に設定していたが、その様相が周辺地域とかなり異なるため、できる限り語数を増やして再調査を行うこととなった。このように一つの地域において調査する項目の数が大幅に増加したため、申請当初に計画していた三重県中南部から北部の調査範囲を十分にカバーするのが難しくなり、対象地域を伊勢志摩地域に絞って研究を進めることにした。

Strategy for Future Research Activity

今年度の研究計画としては、まず春期には昨年度までに実施したフィールドワークによって得られたデータの分析と整理を行う。またそれと並行して、次回の調査に向けた調査項目の整理を行う。さらに、先行研究と筆者の収集した音声データから得た情報を元に、アクセントの解釈と記述方法を再検討する。これは、従来のアクセント記述方法では表現しきれない重要な特徴がこれまでの調査で明らかになったためである。夏期以降には旧南勢町・志摩市・玉城町においてフィールドワークを実施する予定である。これによって不足しているデータを補完する。
またこれまでの研究から、伊勢志摩地域に聞かれるアクセントの変異を説明するためには、近隣の変種の情報が有益であることが明らかになった。そのため、京阪式アクセントから一歩変化が進んだとされる旧南島町などの方言についても、まずは文献による調査を進める。必要に応じてフィールドワークも行う予定である。
そしてこれらの調査・分析を通じて、年度末までに伊勢志摩地域の旧南勢町・志摩市・玉城町における方言アクセントの体系と、その体系の他方言(特に京阪式アクセントを持つ方言)間での位置づけを明らかにすることを目指す。成果は積極的に公表し、得られたフィードバックに基づいて考察を深めたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 三重県玉城町における三拍名詞第6類のアクセント報告2022

    • Author(s)
      中津陽菜
    • Organizer
      2022年度拡大アクセント史資料研究会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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