2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical analysis of the steady flow of a viscous fluid depending on topological properties of the domain
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22J20955
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 立規 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | Navier-Stokes方程式 / 非斉次境界値問題 / Lerayの問題 / Bernoulliの法則 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元平面内の多重連結領域において非斉次slip境界条件下における定常Navier-Stokes方程式の可解性を考察した。流体の非圧縮性条件から、与えられた境界上の函数の各連結成分の流量の総和は零でなければならない。2次元領域における非斉次Dirichlet境界条件下での同問題の可解性はKorobkov-Pileckas-Russo(2015)によって最も一般的な条件下で証明されている。本研究の目的は境界条件の違いから生じる困難を克服して彼らと同様の結果を得ることである。 令和4年度は各連結成分における流量が零であるというより強い条件や領域に対称性を課すことによって可解性を証明した。方程式の可解性を保証するLeray-Schauderの不動点定理の適用を可能にするアプリオリ評価式を背理法によって示す際、斉次定常Euler方程式の解の性質が矛盾を導く鍵を握る。令和4年度はKorobkov-Pileckas-Russo(2015)の論文で重要な役割を果たしたBernoulliの法則を応用することで斉次定常Euler方程式の解の性質に関する新たな知見を得た。その結果を用いて矛盾を導いた。 また令和4年度は本研究に関わる議論を行うためにGiovanni Paolo Galdi教授(Pittsburgh大学)を研究訪問し(105日間)、Pittsburgh大学でセミナー講演を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では定常Navier-Stokes方程式の解析手法を定常磁気流体力学方程式など他の定常方程式の可解性証明に応用する予定であったが、磁場に対する境界条件など他の境界条件の取り扱いが想定以上に困難であったため、研究計画を修正してまずは定常Navier-Stokes方程式を非斉次slip境界条件下で考察することで境界条件の違いが可解性証明に与える影響を調べることにした。以上の理由により、当初の計画よりもやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では境界上の函数や領域に付加条件を課しており最も一般的な条件下における可解性証明には成功していないことから、令和4年度に得られた定理は未だ完成形とは言えない。今後は令和4年度に確立したBernoulliの法則に基づく解析を更に発展させることで、付加条件を課さずに非斉次slip境界条件下における定常Navier-Stokes方程式の可解性を証明して論文に纏めることを目標とする。目標を達成するために、本研究で用いる手法に詳しいMikhail Korobkov教授(復旦大学)と意見交換を行うことを予定している。計画よりも早く結果が得られた場合は、同様の問題を3次元有界領域及び2次元外部領域でも考察したい。今後も引き続き、他の定常方程式の可解性証明への応用を念頭に置いて研究を進める。
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