2022 Fiscal Year Annual Research Report
線維筋痛症モデル動物における運動時の過剰昇圧応答の発生リスクとその発生機序の解明
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21J20070
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
堀 天 中部大学, 生命健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 運動昇圧反射 / 筋機械受容器反射 / 運動時循環応答 / 交感神経活動 / 感覚神経 / メカノバイオロジー / メカノトランスダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,線維筋痛症における運動時の過剰昇圧応答のリスクを明らかにし,さらに,線維筋痛症における過剰昇圧応答の機序を,個体・組織・細胞レベルで解明することを目的としている. これまでに,線維筋痛症モデルラットでは,運動時の神経性循環調節機構の一つである筋機械受容器反射が亢進していることを明らかにした.そのため,本年度では,線維筋痛症モデル動物における筋機械受容器反射の亢進の機序解明を目的に,無麻酔除脳動物を用いたin vivoの系の実験を実施した.その結果,イオンチャネルであるtransient receptor potential vanilloid 1(TRPV1)と,酸感受性イオンチャネル3(acid-sensing ion channel 3, ASIC3)のそれぞれの作動薬であるカプサイシンと乳酸の下肢動脈投与に対する血圧応答および交感神経活動応答が,線維筋痛症モデル動物において亢進していることを明らかにした.さらに,筋機械受容器反射を評価するための下腿三頭筋の受動的ストレッチに対する血圧・交感神経活動応答の線維筋痛症様症状による亢進は,TRPV1とASIC3のそれぞれの阻害薬であるIRTXおよびAPETx2の下肢動脈投与により,抑制されることを明らかにした. 以上の結果より,線維筋痛症モデル動物における筋機械受容器反射の亢進に少なくともTRPV1とASIC3が関与する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り,電気生理学的手法を用いて,in vivoの系にて線維筋痛症モデルラットで筋機械受容器反射が亢進する機序の解明にアプローチすることができた.しかし,分子生物学的手法を用いた機序の検討はできていないため,おおむね順調とした.
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Strategy for Future Research Activity |
分子生物学的手法を用いて,筋機械受容器反射の求心路を担う脊髄後根神経節細胞において,TRPV1やASIC3の発現や修飾が変化しているのかを明らかにする.それにより,線維筋痛症モデル動物におけるTRPV1とASIC3の感作の機序解明にアプローチする.
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[Journal Article] 標高 1,200m級の登山活動時にみられた若齢女性の 等尺性ハンドグリップ運動に対する血圧応答の増大2022
Author(s)
堀天 , 髙木祐介 , 相川悠貴 , 福地かおり , 吉川明里 , 藤原紗音 , 小木曽洋介 , 下村有佳里 , 家吉彩夏 , 枝元香菜子 , 関和俊 , 堀田典生
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Journal Title
体育学研究
Volume: 67
Pages: 761-773
DOI
Peer Reviewed
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