2023 Fiscal Year Research-status Report
ニホンライチョウの味覚・解毒機能の高山環境適応機構の解明と保全に向けた飼料開発
Project/Area Number |
22KJ2976
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
橋戸 南美 中部大学, 応用生物学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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Keywords | ライチョウ / 味覚 / 苦味受容体 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、高山植物を採食するニホンライチョウを対象に、毒性成分を検出する苦味感覚の解明、腸内細菌による解毒機能の解明を行う。これらの知見をもとに、ニホンライチョウの飼育飼料の改善、ニホンライチョウの生息域外保全へ貢献することを目的としている。また味覚機能については近縁種との比較も行うことで、ライチョウ亜科が高山環境に適応した進化的背景を味覚の観点から考察する。 昨年度までに、ニホンライチョウを含むキジ目18種のゲノムデータベースを用いて、各種における苦味受容体遺伝子レパートリーを決定した。また、動物園で飼育されているライチョウ、キジ目の羽根より抽出したDNAを用いて苦味受容体遺伝子解析を行った。 本年度は、キジ目の種を追加し、キジ目32種のゲノムデータベースを用いて、ニワトリがもつ3種類の苦味受容体遺伝子を候補配列として、キジ目32種の苦味受容体遺伝子レパートリーの決定および進化解析を行った。各苦味受容体遺伝子の系統樹を作成したところ、系統樹の枝長に違いが見られ、保存的な遺伝子がある一方で塩基置換を蓄積している遺伝子もあり、苦味受容体遺伝子ごとに異なる進化傾向を示していた。 苦味受容体遺伝子の機能を比較するために、ニワトリおよびライチョウの苦味受容体遺伝子の増幅産物を用いて苦味受容体の発現ベクターを作成し、機能解析を行った。ニワトリおよびライチョウどちらの苦味受容体も反応を示した苦味物質がある一方で、ニワトリとライチョウで反応性に違いが見られた苦味物質もあり、2種間での苦味受容体機能に種間差があることが示唆された。また、より詳細に種間比較を行うために、ホロホロチョウなどの他のキジ目に対しても苦味受容体の発現ベクターを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに構築した鳥の羽根1本よりDNAを抽出し、遺伝子解析をする方法を用いることで、順調に苦味受容体遺伝子の増幅および発現ベクターの作成を行うことができた。また動物園の方のご協力により、キジ目の鳥類およびライチョウのサンプリングからDNA抽出までスムーズに行うことができた。そのため、計画していた苦味受容体の機能解析を行うことができ、その成果を飼育野生動物栄養研究会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は機能解析に用いる苦味物質の種類や機能解析を行うキジ目の対象種を増やし、また、変異体解析により受容体機能低下を引き起こしているアミノ酸変異を特定するなど、より詳細な機能解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
苦味受容体機能解析に用いる苦味物質や試薬等を共同研究先の研究室と共用させていただいたため、試薬購入費を抑えることができた。次年度はこれまでに用いていなかった苦味物質を用いての苦味受容体機能解析も予定しているため、試薬購入費用として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)