2022 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀から20世紀初頭東アジアにおけるアメリカン・ボードの影響
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22J11080
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
SO CHIT SHING 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカン・ボード / 同志社英学校 / 『チャイニーズ・レポジトリー』 |
Outline of Annual Research Achievements |
・2022年度は、主に本研究の遂行に必要とする一次資料の調査、分析、解読を中心に行なった。具体的には、同志社大学今出川図書館所蔵の「アメリカン・ボード文書」(マイクロフィルム)、中央大学中央図書館所蔵の「アメリカ長老会海外伝道会文書」(中国部・マイクロフィルム)、横浜開国資料館所蔵の「アメリカ長老会海外伝道会文書」(日本部・リプリント)など所収のアメリカ宣教師の書簡、手稿、日記などを通じて、成果を次の通りに発表した。 ・(A)2022年5月7月韓国啓明大学校で開催された東アジア文化交渉学会第14回国際学術大会で、「同志社英学校の成立とアメリカン・ボード本部のそれに対する期待」と題して発表した。結論として、同志社英学校の成立はアメリカン・ボードの教育伝道の一環であることを無視してはならない。そのために、当時および過去に存在した他国の宣教地におけるアメリカン・ボード関係の教育機関に対するアメリカン・ボード本部の意見を比較し、「同志社英学校の特殊性を見出せることができる。 ・(B)2022年11月26日同志社大学で開催された第6回同志社大学グローバル・スタディーズ学会で、「『チャイニーズ・レポジトリー』(1832-1851)の印刷と版本問題」と題して発表した。結論として、従来に問題とされなかった『チャイニーズ・レポジトリー』の印刷内容と版本問題を示し、異なる版本の単語の綴りと活字の変化を通じて、19世紀初期における入華西洋人の東洋知識と言葉の理解に対する変化の一端を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・2022年度の新型コロナウイルス感染症の問題、およびグローバル的なインフレーションの影響により、本来計画されているアメリカへの現地調査は困難となり、特に日本国外の図書館・研究機関に所蔵され、いまだデータベースや文献目録に収録・整理されていない資料の調査に支障が生じた。そのため、2022年度の研究は、国内所蔵の文献調査に伴い、国外所蔵アーカイブの実物調査からマイクロフィルム、リプリント、電子複写などの形式を通じて、可能な範囲で必要な資料を収集し、文献の内容解読・分析に移行した。
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Strategy for Future Research Activity |
・2022年度に収集した宣教師関係の書簡、手稿、日記に基づいて、マイクロフィルム、リプリント、電子複写などの元である原文献のコンディションにかかわらず、画像解析ソフトの補助で、判読困難の部分を解読することで、研究を計画通りに推進することが可能であると考えられる。 ・これまでの調査・解読・分析に基づき、アメリカン・ボードの宣教方針における印刷伝道の重要性、またその中国と日本伝道における教育伝道の変化と差異問題が大きいであることを再確認し、本研究課題については宣教師中心の分析からアメリカン・ボード本部中心の分析に移り、「非現場」の視野から従来の宣教師と母教会の問題を再考し、研究を新たな方向に進めることと思われる。
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