2023 Fiscal Year Research-status Report
身体後方音が三次元空間での知覚・認知・行動に及ぼす特異な影響の解明
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22KJ3024
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山崎 大暉 立命館大学, OIC総合研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 実験心理学 / 多感覚知覚 / 空間知覚 / 聴覚 / 視覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚は視野の範囲や身体による制約を受けず,全方位における近距離から遠距離までの空間情報を提供している。特に視野外空間の知覚は聴覚に頼っており,見えない場所の危険検出や日常場面でのコミュニケーションなど重要な役割を担うと考えられる。そこで本研究では,心理物理実験や認知課題を用いて,身体後方の音が我々の多感覚的知覚や認知・感情に及ぼす特異な影響を検討する。本年度は,視野内外の音が視覚情報処理に及ぼす影響を検討した。視覚刺激に聴覚刺激を同時呈示すると,低次視知覚(グレーティングの傾きや明るさ)のパフォーマンスが向上することが知られている(e.g., Leo et al., 2011)。しかし,視覚機能の下位経路であり,持続的で詳細な情報処理に関わる小細胞系および,一過性の情報処理に関わる大細胞系処理における詳しい聴覚的影響は分かっていない。目に見えない脅威を警告する聴覚系の役割を考えると,視野の外にある音は,一過性情報に敏感で運動に関与する大細胞系を促進する可能性がある。そこで本研究では,身体の前後から呈示された音がガボールパッチの方位検出に及ぼす影響を検討した。空間周波数の高低によって小細胞系と大細胞系の相対的寄与を操作した視覚刺激と同時に,課題無関係なホワイトノイズが,参加者の前後に設置されたスピーカーから呈示された。その結果,音による視覚パフォーマンス促進効果が,空間周波数によって異なることを示唆するデータを得た。次年度においては,同様の聴覚刺激が身体との位置関係によって異なる多感覚的影響を生じるメカニズムの解明を目的とした追加の検討を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
身体前後に音を呈示する実験において,前後誤判定といった音源定位の個人差が問題となり,音源定位能力を検討する追加の課題構築を行った。そのため当初の予定より遅れたが,計画していた研究を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には,視覚情報処理における音の影響の研究を発展させるとともに,音と他の感覚情報との注意切り替えに関する研究を行う。また,本年度までの研究成果をまとめ,国内外の学会や論文での成果報告を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた出張等の旅費が予定額を下回ったため,次年度使用額が生じた。次年度の出張,成果発表にかかる旅費,および実験参加者への謝礼として使用する予定である。
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