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2023 Fiscal Year Research-status Report

中東地域におけるイスラームの保守転回と政治介入:サラフィー主義ネットワークの研究

Research Project

Project/Area Number 22KJ3037
Allocation TypeMulti-year Fund
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

米田 優作  立命館大学, 国際関係研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2023-03-08 – 2025-03-31
Keywordsサラフィー主義 / 現代中東政治(エジプト) / 「アラブの春」以降の政治と宗教 / イスラーム政治思想 / 中東地域研究 / 思想研究 / フィールドワーク
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、当初より計画していたエジプトでの学術調査を実施した。また、本年度中に研究発表を7本(うち国際会議での口頭発表・ポスター発表を4本)・英語論文投稿1本を行った。以下にその概略を記す。
2024年1月末から2月末にかけての約4週間、エジプトでの学術調査を実施した。同調査中は、前年度に構築した調査対象者との信頼関係・ネットワークを活かし、聞き取り調査を実施したほか、彼らが発信するアラビア語原典資料等の1次資料の収集を中心に行った。
2023年5月には、日本中東学会第39回年次大会に参加し、研究発表を行った。7月には、英国エクセター大学にて開催された英国中東学会に参加し、英語による研究発表を行った。8月には世界国際関係学会アジア太平洋地域大会に参加し、英語によるポスター発表を行った。また、8月末に立命館大学中東・イスラーム研究センターとヨルダン大学戦略研究所とのジョイントでオンライン開催された国際ワークショップにて、英語による研究発表を行った。10月には立命館大学アジア・日本研究所主催の第60回AJI研究最前線セミナーに参加し、研究発表を行った。2024年2月には、エジプト・カイロに所在する日本学術振興会カイロ研究連絡センター主催で開催された定例懇話会にて研究発表・講演を行った。2月末には、立命館大学中東・イスラーム研究センターおよび現代中東政治研究ネットワークの共催のもと、第1回GSMEIAS(中東・イスラーム地域研究 院生研究会)研究会を企画・主催し、そこで研究発表を行った。
最後に、前年度からの研究成果の一部を英語論文として取りまとめ、学術誌『Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies』(査読あり)に投稿し、掲載が決定した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題では、21世紀以降の中東地域の政治において急速に台頭しているサラフィー主義勢力(これまでの人知により形成されコンセンサスを得てきたイスラーム四大法学派=二神学派体制の伝統の権威に否定的な立場をとり、聖典クルアーンや預言者ムハンマドの慣行などを直接再解釈することで、篤信の初期世代に見出される理想的なイスラーム像を実現しようとする、スンナ派イスラーム理解・解釈の一潮流)に着目している。従来は政治志向が弱いと認識されてきたサラフィー主義勢力は、宗教復興が進んだ中東広域で政治介入を進めており、その背景にある思想的内実や思想ネットワークの様態を明らかにすることが本研究の目的である。
本研究では、従来型の文献調査にとどまらず、現地調査を組み合わせ、社会における思想の受容実態、その思想が形成された政治・社会的文脈、思想が形成された背景にある人的交流、他の思想潮流との関わりなどを動態的に解析・考察することを目指している。
本年度は、下記の「今後の研究の推進方策」でも記す通り申請書提出時点の計画から変更が生じたものの、次年度(最終年度)での研究成果の取りまとめに向けて研究を進め、これまでの現地調査および文献調査により得られた成果をもとに、前年度に引き続きアウトプットを積極的に行った。実際に、本年度中は国内学会での口頭発表3本、および国際学会での口頭発表・ポスター発表を4本、合計7本の学会発表を行なったほか、査読つき英語論文1本を投稿し、掲載が決定した。これらの研究発表の機会では、聴衆からの数々の有意義なフィードバックを得ることができた。これを活かすことで、自身の研究内容の精査と質的向上、そして博士論文としての研究の深化に努めることができた。
以上の理由から、当初の計画から変更が生じたものの、本研究は現在まで概ね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

次年度(最終年度)については、引き続きアラビア語原典資料の収集と解析を行うと同時に、これまでの成果を元に博士論文の執筆を行う。なお、申請書提出時点での計画では、エジプトに加えて、クウェートやサウディアラビアでの調査も計画していた。しかしながら、現在までの研究の進捗状況および先行研究を含めた当該分野の最新の研究動向を鑑みるに、これまで主たる研究対象としてきたエジプトのサラフィー主義者・組織の実証分析を徹底することが最善であると判断した。そのように方針転換をした場合でも、当初の計画通り、当該分野(i.e. サラフィー主義研究)に限定されない、イスラーム政治思想研究や現代中東政治研究といったより広範な学問領域の側への学術的インパクトが見込まれることから、今後最終年度にかけてはエジプトの事例分析を優先しそれを確実に行うこととする。

Causes of Carryover

本年度前半では当初の予定通り、日本中東学会第39回年次大会(5月筑波大学で開催)、および英国中東学会年次大会(7月英国・エクセターで開催)に参加し研究発表を行なった。これらの関連出張で本年度交付額の800,000円のうち603,660円をこの時点ですでに執行していた(円安・物価高、およびウクライナ戦争に伴う燃料高等の影響を受け、とりわけ航空券代金について当初想定していたよりも多く経費を要した)。しかし本年度中には残り、①国際学会ISA Asia-Pacific(8月早稲田大学で開催)への参加・研究発表、②博士論文執筆に必要なデータを収集するために約4週間の日程で予定しているエジプト(丙地域)現地調査・資料収集、などの研究実施計画を控えていた。これらの学会発表関連および現地調査関連の出張費用を本基金予算で遂行するべく、600,000円を前倒し支払い請求することとした。前倒し支払い請求をした結果、上記の研究実施計画にかかる費用については本基金予算内でカバーすることができ、結果として14,260円を翌年度に繰り越す形となった。繰越分14,260円については、翌年度の本基金の残高である200,000円と併せて、翌年度(最終年度)中の国内学会・国際学会での研究成果発信、および資料収集にかかる出張費用として使用する予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results)

  • [Journal Article] Transformation of Salafist Political Attitudes during the “Arab Spring” Period: “Democracy” and “Parliamentary Politics” for Egypt’s al-Da‘wa al-Salafiya2024

    • Author(s)
      YONEDA, Yusaku
    • Journal Title

      Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies

      Volume: 17 Pages: 25-45

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 「「アラブの春」以後のエジプトにおける「イスラーム」と「政治」:ダアワ・サラフィーヤの思想変容を中心に」2024

    • Author(s)
      米田 優作
    • Organizer
      日本学術振興会カイロ研究連絡センター定例懇話会(2023年度第9回)
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「政教関係・政治学・思想研究の交叉路:現代エジプトのサラフィー主義と政治を研究する立場から」2024

    • Author(s)
      米田 優作
    • Organizer
      第1回GSMEIAS(中東・イスラーム地域研究 院生研究会)研究会
  • [Presentation] 「エジプト権威主義体制下におけるサラフィー主義者の政治姿勢:ヌール党関係者の著作分析から」2023

    • Author(s)
      米田 優作
    • Organizer
      日本中東学会第39回年次大会
  • [Presentation] "Intellectual Transformation of the Salafi Call after the 2011 Political Participation: A Discourse Analysis of Religious Organizations and Political Party Officials"2023

    • Author(s)
      YONEDA, Yusaku
    • Organizer
      BRISMES(英国中東学会)Annual Conference 2023
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] "Islam and Politics in Egypt after the 2011 Arab Spring: Focusing on the Analysis of Salafists as New Political Actors"2023

    • Author(s)
      YONEDA, Yusaku
    • Organizer
      ISA Asia-Indo Pacific(世界国際関係学会アジア太平洋地域大会) 2023
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] "Towards a New Understanding of Contemporary Salafism Studies: Reconsidering 'the political' for Egypt’s al-Da‘wa al-Salafiya"2023

    • Author(s)
      YONEDA, Yusaku
    • Organizer
      The Japan-Jordan International Research Workshop. “Everyday Life and Social Dynamics in the Middle East: Towards a New Analytical Perspective”
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「現代イスラーム思想のなかのサラフィー主義(運動):エジプトと湾岸アラブ諸国との間の思想的共振/競合に着目して」2023

    • Author(s)
      米田 優作
    • Organizer
      第60回AJI研究最前線セミナー(the 60th AJI Frontier Seminar)

URL: 

Published: 2024-12-25  

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