2023 Fiscal Year Research-status Report
液液相分離現象を介したエピジェネティック修飾効果の増幅機構の解明
Project/Area Number |
22KJ3064
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
鶴田 充生 甲南大学, フロンティアサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 液液相分離現象 / DNA / ペプチド / グアニン四重らせん構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティックな遺伝子制御では、メチル基に代表される微視的な官能基レベルの変化が、クロマチン形成を介し遺伝子発現を劇的に制御して、細胞の分化や運命を決定づける巨視的な効果をもたらす。にもかかわらず、微視的化学変化を巨視的細胞変化に結び付ける分子機構の詳細は明らかではない。さらに、ヘテロクロマチンは液液相分離現象(LLPS)によって可逆的・動的に形成される液滴であることが報告されている。エピジェネティック修飾がヘテロクロマチンの形成にかかわる核酸-タンパク質相互作用やLLPSにおいても重要な役割を果たすと考えられるが、どのような影響を及ぼすかは全く明らかになっていない。これまでに、神経変性疾患である脆弱性X症候群の発症に関わることが知られている遺伝子では、四重らせん構造(G4)を形成可能であることが見出されている。さらにこの遺伝子のG4形成領域の近傍では、高頻度でエピジェネティック修飾が行われている。そこで本研究では、微視的なエピジェネティック修飾と巨視的な液液相分離現象(LLPS)の定量的相関(QREL: Quantitative Relationship of Epigenetic modification - LLPS ability)を解明する。 研究二年目では、初年度に構築したLLPSモデルシステムをより詳細に検討するためにラマン散乱顕微鏡を用いて液滴の形成によって液滴内部に濃縮されているDNAやペプチドの濃度を定量した。この内容は、国際誌にて原書論文として投稿した。さらにこのLLPSモデルシステムを用いて、DNAのメチル化のLLPSに対する効果を検討した。核酸-タンパク質相互作用に対するメチル化の効果も現在、検討をしている。文献調査や実験結果の議論などを進め、研究の推進させるための重要な知見が多く得られた。このように二年目の研究は、おおむね順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、研究二年目はエピジェネティック修飾の核酸の熱安定性及びLLPSに対する効果の定量を予定していた。核酸の熱安定性に対する効果の定量は、予定通りに達成し様々な知見が得られた。さらには、様々な核酸の二次構造に対するエピジェネティック修飾の影響についても検討した。LLPSに対する効果の定量については測定の一部は達成している。それらの結果を用いて、上記のQRELの解析も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
エピジェネティック修飾の核酸の熱安定性及びLLPSに対する効果の定量は、研究三年目でも引き続き行う。研究二年目に一部達成しているQRELも行う。これらの知見が細胞内でも反映されるのかを確認するために、細胞を用いたアッセイなども行う。
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Research Products
(10 results)