2023 Fiscal Year Annual Research Report
着脱可能なスルホニル基が誘導するオレフィンの位置/立体選択的多官能基化反応の開発
Project/Area Number |
22KJ3065
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
渡部 光 岡山理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ヘリセン / Mallory環化 / スルホン / π拡張 / 多官能基化 / スルホニル基 / 炭素-炭素結合形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ビススルホニル[n]ヘリセンを合成テンプレートに用いたスルホニル基の変換反応から様々な官能基化ヘリセンを効率よく合成できることを見出した。[n]ヘリセンを官能基化する際には、基質による反応性や選択性の制御が常に直面する課題であるが、ビススルホニル[n]ヘリセンをテンプレートに用いることでニッケル触媒とカルベン配位子存在下、グリニャール試薬を用いた熊田-玉尾-Corriuカップリングにより様々なアリール基やアルキル基を導入した官能基化ヘリセンを得ることに成功した。また、4-クロロフェニル基が置換した[6]ヘリセンについては単結晶X線構造解析により、生成物の帰属及び詳細な結晶構造を明らかにした。この反応を利用した応用を目的として2,15-ジブロモ-5,12-ジスルホニル[6]ヘリセンに対して4-ジフェニルアミノフェニルボロン酸を用いた鈴木カップリングによるブロモ基の変換及び4-トリフルオロメチルフェニルボロン酸を用いた熊田カップリングによるスルホニル基の逐次変換を通して、新規なドナーアクセプター型[6]ヘリセンの合成に展開した。一般的な[n]ヘリセンはその環数(n)が増加しても有効共役が拡張しないことや発光特性をほとんど示さないことが知られているが、本化合物は無置換[6]ヘリセンと比較して吸収及び蛍光スペクトルの長波長化及び比較的高い蛍光量子収率を示すことが明らかとなった。またジスルホニル[6]ヘリセンを用いた熊田カップリングによりスルホニル基を2-ビフェニリル基に変換し、続くScholl反応により高度に湾曲したπ拡張分子が得られることを見出した。なお本化合物は溶液中で可視光領域に比較的幅広い発光帯を有し、青白い発光を示した。現在はこれらの成果を取りまとめ、学術論文として発表することを計画している。
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