2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of dietary optimization model for risk prediction and prevention related to fetal growth using artificial intelligence
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22J40098
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
大久保 公美 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 食事の質 / 胎児成長 / 重金属 / Birth cohort / DOHaD |
Outline of Annual Research Achievements |
生涯にわたる疾患の原因は、胎児期・幼少期の環境に由来する。胎内の発育環境を知る指標である出生体重が低い(2500g未満)児の割合が極めて高い日本の現状を考えると、胎児成長に影響を及ぼす環境要因の同定とリスク低減のための方法を模索することが喫緊の課題である。そこで本研究は、①複数の環境要因の同時多角的な影響を評価するために、エクスポゾーム(人が生涯において受ける環境要因の総体:生涯曝露)の概念に基づいた解析手法を確立し、 胎児成長に影響を及ぼす食事要因および内的・外的環境要因を明らかにすること、②人工知能 (AI)を活用して、現在の食習慣・生活環境などの情報から胎児成長に係わるリスクの予測と予防のための食事最適化モデルを構築することを目的とする。 研究初年度は、目的①の一環として、胎児成長に及ぼす食事要因および環境要因の解明を目的に、環境省事業「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の約72,000組の母子を対象に、食事バランスガイド(2005年農林水産省・厚生労働省により策定)で示されている目安範囲の下限値をもとに、妊娠前からの母親の食事全体の質(栄養バランスのとれた健康的な食事の度合い)を評価し、食事の質が母体の血中重金属濃度や胎児成長に及ぼす重金属への影響に対する交互作用を調べた。その結果、妊娠前の食事の質が高いと鉛やカドミウムの血中濃度が低く、水銀濃度が高くなる傾向が見られた。また、母親の食事の質が高いと低出生体重児が生まれるリスクが有意に低く、特に鉛曝露による低出生体重リスクが低くなる傾向がみられた。本研究により、妊娠前からの質の高い食事は、一部の重金属の曝露を抑えるとともに、胎児期の鉛曝露による低出生体重リスクを低減させる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた環境化学物質の測定データの利用制限により検討できない項目もあるが、それ以外については順調に研究成果が出ている。本年度は、査読付き国際誌に2報の論文が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、エクスポゾームの概念に基づき、胎児成長に及ぼす食事要因および内的・外的環境要因を解明する。また国内の共同研究者の助言をもとに、人工知能 (AI)を活用して、現在の食習慣などの情報から胎児成長に係わるリスクの予測と予防のための食事最適化モデルを構築していく。 本研究の成果報告として、学術論文を通して社会に発信するとともに、一般向けニュースレター等を作成する。そして、エコチル調査ならびに受入研究機関のホームページ上での研究成果の公開を順次行う。
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