2023 Fiscal Year Annual Research Report
タテジマイソギンチャクの胃の分節構造に現れる対称性の種内多型
Project/Area Number |
22KJ3132
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
Sarper Safiye Esra 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | symmetry / radial / bilateral / evolution / body plan / morphology |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の対称性は、器官の配置に表れる最も基本的な特徴であるが対称性が多様化する機構はまだ解明されていない。私たちは刺胞動物であるタテジマイソギンチャク(イソギンチャク目)の形態に注目し、左右対称個体と放射相称個体が同じ種内で共存していることを発見した。この発見をもとに、異なる対称性を持つ個体がどのようにしてできるかを実験と数理モデルを使い解析し、動物界の対称性多様化機構を明らかにすることを目指した。そのため、本研究ではタテジマイソギンチャク体の再生過程を実験室で安定的に再現する実験方法を確立した。この方法では、タテジマイソギンチャクの体の一部を切り取り、シャーレで培養することで再生過程を再現することができた。また、この方法を用いて、複数の個体において胃袋や口の器官配置の時空間パターンをKeyence・Zeiss顕微鏡で観察した。 放射相称種の器官配置についての定量的な解析や、放射相称な器官配置を生み出す機構に関する記述は少ない。そのため、タテジマイソギンチャク(放射相称個体)の再生過程を解析すると並行して他種の放射相称性を解析した。そこで、私たちは放射相称性を示すヒドロ虫綱(刺胞動物門でイソギンチャク目の後に分岐している)の種に注目し、その中でもタマウミヒドラの近縁種(Coryne uchidai)の器官配置(触手配置)を定量的に解析した。解析の結果、C. uchidaiのポリプは、四つの触手が等角度でリングを作り、各触手の長軸方向の位置に周期4を示す四放射相称でした。一方、三放射相称と五放射相称もみられ、種内での多型性が確認された。また、放射相称の多様性は個体のサイズと相関しており、五放射相称のポリプの直径は四放射相称個体よりも大きく、四放射相称個体は三放射相称のものよりも大きかった(Sarper et al.、2023年)。
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