2022 Fiscal Year Annual Research Report
有機フッ素化合物の微粉炭吸着脱離機序の解明と浄水処理効率化によるリスク低減
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21J01537
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
中沢 禎文 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 有機フッ素化合物 / 環境技術 / 活性炭 / 吸着 / 脱着 / 浄水プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
1.浄水場で稼働中の粒状活性炭 (GAC) の有機フッ素化合物 (PFAS) の破過におよぼす水温の影響を調査した。GAC池流入水に含まれる6種のカルボン酸PFAS (C4-C9) はGACの運用開始直後から30日時点まではすべて除去されていた。その後、残存率が徐々に増加し、PFASの鎖長が短いほど残存率の増加速度が大きかった。破過曲線から算出されるPFASの10 %および50 %破過時点の処理水量 (それぞれBV10およびBV50) はPFASの鎖長が長いほど増加した。水温の影響はC4とC5に見られ、低水温 (5-19 度) よりも高水温 (20-29度) の場合にBV50が小さく、高水温が破過を助長させた。吸着容量の小さい短鎖PFASは破過が早く水温の影響が顕著に見られたが、吸着容量の大きい長鎖PFASは破過が遅く水温の影響は小さかった。高水温期にC4とC5の処理後濃度が処理前濃度を超え、両者の脱着が確認された。 2.平衡脱着実験によりPFASの脱着量および脱着比率を推定した。GACをPFASフリー水に4か月間晒すことで、6種のカルボン酸PFASと2種のスルホン酸PFASが脱着し水相から検出された。各活性炭濃度におけるPFAS濃度の最大値を脱着平衡濃度とみなして活性炭濃度で除すことでPFAS脱着量を算出し、PFAS脱着量-PFAS濃度の回帰式を求め、脱着可能量 (回帰式の切片) を算出した。PFASの脱着可能量はPFOAが最大 (0.5 μg-PFAS/g-GAC) であったが、GACのPFAS負荷量との比率はPFHxA (Log D=0) で最大となった (60 %)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.浄水場の粒状活性炭処理におけるPFASの破過と水温の関係を調査し、PFAS鎖長が短いほど破過が早く、破過速度が高水温により増加することを明らかにした。 2.PFASの水への脱着可能量を調査し、脱着可能量の対負荷量比がPFASの疎水性 (Log D) により異なり、Log D=0で最大となることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
浄水場におけるPFOS/PFOAの分岐鎖、新規PFAS 処理性の実態調査を進める。GAC吸着後のPFASの脱着速度およびGAC層内のPFASプロファイルの変化を調べる。高正荷電凝集剤と活性炭吸着を組み合わせた処理によるPFASの除去性を調べる。
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