2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21J40157
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
松尾(楠本) 理加 国立研究開発法人国立がん研究センター, ゲノム安定性制御研究ユニット, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | UV / 不死化 / ゲノム不安定性 / DNA二本鎖切断 |
Outline of Annual Research Achievements |
紫外線C波(UV-C)が細胞の不死化に与える影響を明らかにすることを目的としている。マウス胎仔線維芽細胞(MEF)は分裂を繰り返すとそのほとんどは分裂を停止するが、一部はゲノム不安定性とARF/p53変異を伴ってやがて不死化する(ここでは自然不死化と呼ぶ)。不死化の過程ではDNA複製に起因したDNA二本鎖切断が蓄積している。 前年度は継代回数3回のprimary MEFにUV-Cを照射すると、非照射細胞に比べて不死化が早まることと、UV-C照射後にもDNA複製に起因したDNA二本鎖切断が蓄積していることを示した。 今年度はUV-C照射後の不死化メカニズムを明らかにするために、UV-C照射後に不死化したMEF、自然不死化したMEF、primary MEFの3種類の全ゲノム配列解析を実施した。現在詳細な解析を行なっている。また、当グループではγ線により誘導されるDNA切断やヘテロクロマチン生成を指標に、これらを抑える効果の高い低分子化合物をスクリーニングにより同定し、その混合物をゲノムスタビライザーとして用いている。ゲノムスタビライザーを含む培地でMEFを培養すると、MEFの自然不死化を抑制することを示している。そこで、UV-C照射による不死化へ与える影響も調べたところ、ゲノムスタビライザーはUV-C照射後の不死化を抑制した。ゲノムスタビライザーがUV-C照射後に蓄積するDNA二本鎖切断を抑制するかどうかを現在調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ゲノム解析やChIP解析を外部に発注し、効率的に研究を進められているので順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノム配列解析の結果を詳細に解析し、自然不死化とUV-C照射後の不死化における類似点と相違点を明らかにする。我々はゲノム不安定性を伴うがんでは一塩基変異(SNV)が構造変異(SV)の近傍に多発することを明らかにしており、UV-C照射後の不死化MEFにおいても同様のことが起こっているか調べる。また、ゲノムスタビライザーがUV-C照射後の不死化を抑制するメカニズムを明らかにする。
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