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2022 Fiscal Year Annual Research Report

ノイズロバストな計算を可能とする量子アルゴリズム:理論とプロセッサ開発

Research Project

Project/Area Number 22J01501
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionNational Institute of Advanced Industrial Science and Technology

Principal Investigator

中路 紘平  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 特別研究員(CPD)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2027-03-31
Keywords量子コンピューター / NISQ / ノイズ / ハミルトニアンシミュレーション / 量子時間発展
Outline of Annual Research Achievements

量子コンピュータ(QC)の実用化が世界的に展開されている一方、実用的なQCの登場には数十年が必要とされている。本研究の目的は、この状況を打破し、10年程度で実現可能なノイジーな中規模QC(NISQ)における情報処理にノイズ耐性を持たせる理論的手法(ノイズロバスト化手法)を開発、その実現を容易にするRISQプロセッサを提案することである。
今年度はノイズロバスト化手法開発に重きを置き、計算処理近似手法と測定最適化手法の開発に取り組んだ。これにより、量子計算のエラーレートを大幅に減少させることが可能となり、現実的なノイズのある量子デバイスで高精度な計算を実現する一歩を踏み出した。当初の予定を超えて、5本の論文を投稿した(内、2本は雑誌掲載済み)。
計算処理近似手法では、ハミルトニアンシミュレーションに必要な量子ゲート数を著しく減少させる新たなアルゴリズムを開発した。これは確率的な近似手法により、計算リソースを大幅に節約しつつ、計算精度を維持することを可能にする。また、データ読み込み回路の近似アルゴリズムも開発した。これらの手法は、量子アルゴリズムの実装におけるボトルネックを解消する重要な一歩となった。
測定最適化手法の開発については、量子時間発展における量子状態の測定を効率的に行う手法を提案した。これにより、測定時のノイズを大幅に減らし、結果の信頼性を向上させることが可能となった。
さらに、量子計算と機械学習の融合についても探求し、2本の論文を投稿した。これらの研究は、量子アルゴリズムに機械学習を利用することで、どのようにノイズロバスト性を向上させるかという新たな視点を提供し、次世代の量子計算機に向けた道筋を示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究の目標は、ノイジーな中規模量子コンピュータ(NISQ)の情報処理に対するノイズ耐性を強化し、その実現を容易にするロバストな中規模量子(RISQ)プロセッサを提案することだ。これは、実用的な量子コンピュータの導入を数十年から10年程度に短縮するための重要な取り組みとなる。
今年度の研究成果は、この目標達成に向けて当初の計画をお大きく上回り、大きな進展を遂げた。特に、計算処理近似手法と測定最適化手法の開発では、新たなアルゴリズムを提案し、これらがノイズ耐性を大幅に向上させることが確認された。これらの結果により、計算リソースの節約と測定の信頼性向上という、ノイジーな環境下での量子計算における2つの重要な課題を同時に解決する道筋が見えてきた。
また、量子計算と機械学習の融合についても新たな視点を提供し、これらの技術がNISQ環境下でどのように活用できるかを示すことができた。これらの成果は、RISQプロセッサの設計と実装に必要な理論的基盤をさらに強固にする一方で、その実現に向けた具体的な道筋を示す貴重な手がかりとなった。
さらに、量子計算と機械学習の融合についても新たな視点を提供し、これらの技術がNISQ環境下でどのように活用できるかを示すことができた。これにより、RISQプロセッサの設計と実装に必要な理論的基盤がさらに強化され、その実現に向けた道筋がより明確になった。
これらの進展は、量子コンピュータの実用化を大幅に早める可能性を示しており、次世代の量子計算技術への道を切り開く重要な一歩となったと言える。

Strategy for Future Research Activity

来年度は、ノイズロバストなアルゴリズム開発をさらに深化させる一方で、新たな取り組みとして実デバイスでのアルゴリズムの実験を開始する予定である。これにより、理論だけでなく実践の視点からもアルゴリズムの性能と有用性を評価し、具体的なデバイスの特性を考慮したアルゴリズム設計につなげることが期待される。
具体的には、まず初めに既に開発した計算処理近似手法と測定最適化手法の実デバイスでの実装と評価を行う。これにより、理論的に提案したアルゴリズムが実際のデバイスでどの程度ノイズに耐えうるか、またどの程度の計算効率向上が期待できるかを詳細に調査する。これらの結果は、アルゴリズムの改良や新たなアルゴリズム開発への重要なフィードバックとなる。
また、量子計算と機械学習の融合手法についても、同様の実装と評価を行う。これにより、NISQ環境下でのこれらの手法の有効性と応用可能性を具体的に検証する。これらの結果は、ノイズロバスト化へ機械学習を応用する手法について新たな視点を与えるはずである。
最後に、これらの結果を元に、デバイスの特性をより詳細に踏まえたアルゴリズム設計に向けた研究を推進する。具体的には、特定のデバイスのノイズ特性やゲートエラー率などを考慮した、デバイス特化型のアルゴリズム設計手法の開発を検討する。
これらの推進方策は、来年度以降に推進、達成する本研究の目標である、ノイズ耐性を持った中規模量子プロセッサの実現に向けた重要なステップとなるはずである。

  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Measurement optimization of variational quantum simulation by classical shadow and derandomization2023

    • Author(s)
      Kouhei Nakaji, Suguru Endo, Yuichiro Matsuzaki, Hideaki Hakoshima
    • Journal Title

      Quantum

      Volume: 7 Pages: -

    • DOI

      10.22331/q-2023-05-04-995

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Overfitting in quantum machine learning and entangling dropout2022

    • Author(s)
      Masahiro Kobayashi, Kouhei Nakaji, Naoki Yamamoto
    • Journal Title

      Quantum Machine Intelligence

      Volume: 4 Pages: -

    • DOI

      10.1007/s42484-022-00087-9

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Approximate amplitude encoding in shallow parameterized quantum circuits and its application to financial market indicator2022

    • Author(s)
      Kouhei Nakaji, Shumpei Uno, Yohichi Suzuki, Rudy Raymond, Tamiya Onodera, Tomoki Tanaka, Hiroyuki Tezuka, Naoki Mitsuda, Naoki Yamamoto
    • Journal Title

      Physical Review Research

      Volume: 4 Pages: -

    • DOI

      10.1103/PhysRevResearch.4.023136

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] qSWIFT: High-order randomized compiler for Hamiltonian simulation2023

    • Author(s)
      Kouhei Nakaji
    • Organizer
      Quantum Research Seminar Toronto
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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