2023 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム比較で解明するミドリイシ属サンゴの産卵時期決定の遺伝的基盤
Project/Area Number |
22KJ3185
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
仮屋園 志帆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | リシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は琉球列島で優占するコユビミドリイシと、この種に遺伝的に近縁で産卵時期の異なるAcropora sp. 1の比較により、ミドリイシ属の産卵時期を決める遺伝的な基盤を解明することを目的としている。これまでの研究で、研究対象の2種のゲノムリシークエンスデータを用いたゲノム解析を実施した。これにより、2種間で異なるゲノム領域とその領域に存在する遺伝子を特定した。公共データベースのRNA-sequencingのデータから、2種間で異なるゲノム領域に存在する遺伝子の異なる生活史における遺伝子発現の特徴を明らかにした。また少ないサンプル数での解析ではあるものの、配偶子の成熟部位と非成熟部位のRNA-sequencingのデータを解析した。これにより、2種間で異なるゲノム領域に存在する遺伝子の、配偶子の成熟部位と非成熟部位における遺伝子発現の違いを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、初年度に集団ゲノム解析により特定した、2種間で異なるゲノム領域にある遺伝子と産卵との関係を明らかにすることを目的とした。そこで、研究対象種のサンゴの、配偶子の成熟部位と非成熟部位の遺伝子発現を比較した。はじめは、初年度に採取したサンプルからRNAを抽出し、次世代シークエンスのためのゲノムライブラリを作成し、次世代シークエンスを国内の企業に外注する計画であった。しかし、該当のシーケンサーの扱いが終了してしまい、この条件での外注ができなくなった。本研究の条件に合い利用可能な次世代シークエンスでの代用を検討したが、該当年度内にシーケンスを外注することができなかった。次年度に次世代シークエンスを外注し、全RNAの配列を決定する予定である 。そこで、初年度に予備的に少数のサンプルで実施した配偶子の成熟部位と非成熟部位のRNA-seqデータの解析を実施した。これにより、少ないサンプル数での解析ではあるものの、集団ゲノム解析により特定した遺伝子の発現の特徴を調べることができた。また初年度までの結果を、論文としてまとめ、プレプリントアーカイブであるbioRxivに公開した。公開後に国際誌に投稿し、査読者の意見を論文に反映するために追加のゲノム解析を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンスを外注し、全RNAの配列を決定する予定である。このデータを用いて、配偶子の成熟部位と非成熟部位で発現量の異なる遺伝子を特定する。これらの結果を国内学会で発表する。また、ここまでの結果を論文としてまとめ国際誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
計画当初は、次世代シークエンスを国内の企業に外注する計画であった。しかし、該当のシーケンサーの扱いが終了してしまい、この条件での外注ができなくなった。本研究の条件に合い利用可能な次世代シークエンスでの代用を検討したが、納期の関係で該当年度内にシーケンスを外注することができなかった。次年度に次世代シークエンスを外注する計画で準備をすすめている。また、ここまでの成果をまとめた論文を、国際誌にオープンアクセス論文として投稿しており、その掲載料を使用予定に計上していたが、査読結果が明らかになるまでに時間がかかり、掲載料を該当年度内に支払う段階に達しなかった。次年度に論文が受理されれば、その掲載料として使用する計画である。
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