2021 Fiscal Year Annual Research Report
軽度認知障害(MCI)を判別するEEGバイオマーカーの機械学習による解明
Project/Area Number |
21J01605
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
片山 脩 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 予防老年学研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 脳波 / 認知機能検査 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度にあたる令和3年度は、認知機能検査、脳波(EEG)測定に用いる認知課題の作成、脳波測定の補助スタッフ養成、対象者のリクルート、EEG測定、MRI測定を開始した。 認知機能検査は、認知機能評価ツール(NCGG-FAT)により記憶、注意、実行機能、処理速度を測定し、軽度認知障害(MCI)の判定は対象者の年齢と教育歴を考慮した標準値から1.5 標準偏差以上低下した検査項目が1つ以上ある状態とし、MCI判定が出せるようにデータのクリーニングおよび整理を行なった。 EEG測定に用いる認知課題としてSimon課題を作成した。刺激は青色、黄色、赤色の3色の刺激を画面の左右どちらかに25回ずつ提示する合計150刺激の課題とした。Simon課題の行動学的指標として、反応時間と正答率を測定しcsvファイルとExcelファイルで出力できるプログラムを作成した。反応時間と正答率の算出はMATLABを購入し算出できるプログラムを作成した。脳波測定の補助スタッフ養成のため、機器の装着や測定プログラムの操作に関するマニュアルを作成した。マニュアルを用いた研修会を開催し7名のスタッフの養成が完了した。対象者のリクルートは、受入機関で実施している地域在住高齢者を対象とした大規模調査から行い、内容説明書を用いた説明会を行った。説明会にて同意が得られた対象者から順に受入機関でEEGとMRI測定を開始した。 脳波計は対象者の時間的拘束が短く身体的負担が少ないワイヤレスドライ電極であるQuick-20r(CGX社製)を用いて19チャンネルを用いた。EEGの波形成分(P100、N100、P200、N200、P300、N300、P450、P600)のPeak AmplitudeとPeak Latencyを算出可能なプログラムの作成を開始した。今年度は286名のEEGおよびMRIの測定が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた認知機能検査、脳波測定に用いる認知課題の作成、脳波測定の補助スタッフ養成、対象者のリクルート、EEG測定、MRI測定が開始できており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、受入機関で実施している地域在住高齢者を対象と した大規模調査のデータベースから対象者をリクルートし脳波(EEG)測定課題を用いてEEGとMRIの測定を実施する。認知機能検査 の結果および脳波測定で算出されたすべての波形成分のデータに対して機械学習のためのデータ整理を実施し、MCIを判別するEEG波形成分の特徴から健常高齢者とMCIを適正 に判別するEEGバイオマーカーを検証に取り組む。本年度は第2段階(MCIを判別するEEGバイオマーカーの機械学習による解明)として、対象者をさらに増やし第1段階に引き続き大規模に調査を実施する。認知機能検査の結果およびEEGにより算出されたすべての波形成分 のデータに対して機械学習を実施するためのデータ整理を行い、正常な認知機能とMCIを適正に判別するEEGバイオマーカーを検証するための準備を行う。本年度から第3段階(EEGバイオマーカーのMRI大脳構造による外的妥当性の検証)に向けて、MRIのマルチモーダル解析にて大脳白質病変、萎縮、容量、大脳皮質厚の算出のための画像処理を開始し、これらの大脳構造と第2段階で測定したEEG波形成分の結果を正常な認知機能とMCIの高齢者で比較する準備を行う。EEGバイオマーカーとMRIのマルチモーダル解析による大脳構造変化との関連性の検証により外的妥当性が明らかになると予想する。
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Research Products
(7 results)