2022 Fiscal Year Research-status Report
Eco-friendly management in direct-seeded rice systems for monsoon Asia using weed-competitive cultivars
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22KK0083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 洋一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50463881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 侑 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (10964877)
内田 圭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40747234)
郭 威 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70745455)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
国際研究コーディネートについては、国際稲研究所の研究カウンターパートに連絡を取り、オンラインで打ち合わせを進め研究の枠組みについて協議した。また、雑草競合耐性イネに関する解析について、昨年度は、雑草競合に関する形質、特に草丈の伸長に関わる形質について、QTL解析を行った。次に、モンスーンアジアの水田雑草のメタ解析については、アジアモンスーン、特に熱帯アジアにおける水田施業と生物多様性に関する文献を収集した。特にカンボジアおよびタイの(法令による)保護地域における生物多様性の情報を多少得ることが出来た。そして、イネと雑草種識別のための画像情報解析については、直播稲作における雑草評価のための画像解析の検討およびドローンの撮影画像を用いたイネの茎数推定の検討を進めた。1点目については、深層学習モデルを作成し直播稲作圃場の画像からイネと雑草のそれぞれの被覆率を精度良く推定することを目指した。DeepLabv3+モデルを使用しセマンティックセグメンテーションを行うことで、背景・イネ・広葉雑草・イネ科雑草・カヤツリグサ科雑草の5クラスに分割するモデルを構築したところ、IoU=0.93、QSeg=0.49と、従来の機械学習モデルより大幅に高い精度を示した(IoU=0.62、QSeg=0.11)。イネと雑草が重なり合う栄養成長期の画像に対しても、作物と雑草の識別とそれぞれの被覆度の推定は可能であることが示唆された。2点目については、イネの画像に対し、葉端を検知して計数する深層学習モデルP2P Netの適用を検討した。その結果、深層学習モデルP2P Netを用いた推定葉端数と圃場で実測した茎数は有意な正の相関関係が認められ、ドローン空撮画像による茎数の間接的な推定は、栄養成長期から幼穂分化期のイネに対して、実用上許容できる精度で適用できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際研究コーディネート、雑草競合耐性イネに関する解析、イネと雑草種識別のための画像情報解析については概ね順調である。一方でモンスーンアジアの水田雑草のメタ解析については解析の対象となる情報そのものが想定以上に希薄であることが分かったが、これから現地における具体的な情報収集を展開することで充分にカバーできると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
国際研究コーディネートについては、国際稲研究所の研究カウンターパートとの協議に基づいて、まず今年度は、具体的な共同調査ターゲットをカンボジア南西部の水田生態系に据える予定である。そこで、水田植物種保全に向けた栽培管理改善のための農家圃場調査・試験を開始する。雑草競合耐性イネに関する作物生理解析については、今年度も、昨年度同様の試験を実施し、年次反復を取得する予定である。また昨年度、検出されたQTL情報をもとに、準同質遺伝子系統の作出を行う。次に、モンスーンアジアの水田雑草のメタ解析について、メタ解析の材料となる情報の欠如、すなわち、農業生態系やその他の人間の関わる自然環境においては情報がほとんど存在しないことが明らかとなってきている。実際に熱帯アジアの農業生態系を視察し、現状の理解を深めるとともに、今年度も引き続き植生および動物における生物情報の収集に着手する予定である。最後にイネと雑草種識別のための画像情報解析については、昨年度得られた予備試験の結果から実験サイズを増やすことで精度をさらに上げていき、高い実用性を持つ深層学習モデルへ改良していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究開始時期の時点で当該年度の解析に必要なデータ取得をほぼ終えることができ、データ解析だけで済んだためお金がほとんどかからなかったこと、ターゲットとする東南・南アジアの研究者との共同研究体制構築に時間を割いたこと、また、それぞれの研究者同士の日程調整が進まなかったため、メールやオンライン協議となった。国際共同研究のカウンターパートはかなり忙しく、日程調整は決して簡単ではない状況が続くが、対面での協議や擦り合わせとオンラインでの頻繁な確認の組み合わせを進めていく予定である。これまでコロナ禍で海外渡航に一定の制限があったが、今後はよりフレキシブルな渡航が可能になると考えている。
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Research Products
(5 results)