2023 Fiscal Year Research-status Report
感染チタン表面の殺菌・再感染予防・組織再生を有するインプラント周囲炎治療法の開発
Project/Area Number |
22KK0138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 徹 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50372321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (30178644)
日原 大貴 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60781292)
天雲 太一 東北大学, 大学病院, 講師 (80451425)
互野 亮 東北大学, 大学病院, 助教 (80845876)
庄原 健太 東北大学, 大学病院, 助教 (50845906)
山口 洋史 東北大学, 大学病院, 助教 (80876475)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | IGF-1 / BMP-2 / VEGF / インプラント周囲炎 / 骨形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、殺菌したチタン表面に、抗菌性scaffoldを適用することで、感染予防・組織再生を有するインプラント周囲炎治療法の開発することである。R4年度は、骨髄炎原因菌でもあるStaphylococcus aureusを対象とした殺菌効果とチタン表面の親水性の付与を検証した。続いて、成長因子を用いてチタン表面への骨の再付着と再生を促進させるため、R5年度では、硬組織形成に効果的な成長因子の組み合わせを検証した。成長因子のキャリアーをアテロコラーゲンスポンジとし、BMP-2、IGF-1及びVEGFをそれぞれ含侵させ、成長因子を含有しない群(scaffold)、BMP-2を含有した群(BMP-2)、BMP-2+IGF-1が含有した群(BI)、BMP-2,IGF1,VEGFを同時に放出させる群(BIV)、VEGFが先に放出し、その後BMP-2とIGF-1が放出される群(BI+V)を作成し、移植10日及び28日後のマウス頭蓋骨における骨造成を生化学的、組織学的に評価した。BMP-2:インシュリン様成長因子(IGF-1):血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を1:4:1の割合で調合した。その結果、BMP-2とIGF-1の組み合わせでは、28日目において形成された硬組織は軟骨内骨化、および膜内骨化の両方が観察された。BMP-2とIGF-1の組み合わせはBMP-2単独群と比較して硬組織形成量が有意に大きかった。BIV群がすべての群と比較して有意に高い値を示した一方、VEGFが先の放出した場合(BI+V)は、BI群と統計的に同程度の硬組織形成量を示した。このことからBMP-2、IGF-1、VEGFが同時に放出できるシステムを適用することが硬組織形成に有効であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度では、骨組織形成に有効な成長因子の組み合わせを評価することを目的としていた。その結果、BMP-2:IGF-1:VEGFを1:4:1とし、3つの成長因子が同時に放出させるシステムが有効であることを明らかにすることができた。そのため、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、R4年度の結果を基に銀-UVA照射療法におけるヒドロキシラジカル発生量測、表層の形態学的解析、チタン表面の電荷測定、細胞親和性(歯肉線維芽細胞、MC3T3E1細胞、上皮細胞)の評価について進めていく予定である。 また、R5年度の成長因子の組み合わせの結果を基に配合したCaP遺伝子導入ナノ粒子を作成し、チタン表面に適用することで骨誘導能をin vitro, in vivoにおいて生化学的、形態学的、病理組織学的に検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ等の感染症対策のため、当初予定していた対面での研究打ち合わせをオンラインで行ったため、その分の旅費が残額となったが、翌年度に物品費や旅費として計上する。
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