2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of benchmark data to evaluate Green Recovery in tropical Asia
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22KK0165
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高田 秀重 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70187970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 典秀 神奈川大学, 工学部, 准教授 (00391615)
田中 厚資 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 研究員 (10896327)
水川 薫子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50636868)
熊田 英峰 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (60318194)
楊 美玉 東京農工大学, 農学部, 産学官連携研究員 (60931467)
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Project Period (FY) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | 熱帯アジア / 環境汚染 / 屎尿汚染 / 廃棄物埋立処分場 / 浸出水 / 堆積物 / マレーシア / パンデミック |
Outline of Annual Research Achievements |
マレーシアでの調査を、現地研究者(マラヤ大学のDr. Mohamad Pauzi Zakaria, Dr. Bong Chui Wei,)の協力により行った。2022年10月の本科研費の内定通知直後から、現地研究者とメールとzoomで連絡をとり、傭船、レンタカー、河川および廃棄物埋立処分場での試料採取許可を現地の研究者に依頼した。上記アレンジを整え、2022年12月15日から21日にマレーシアに渡航し、現地研究者と共に調査を行った。調査はクアラルンプール近郊のクラン川河口域および廃棄物埋立処分場3箇所である。クラン川河口域では1998年から2016年の間の調査と同一地点6地点で河川水と堆積物の試料採取を行った。廃棄物埋立処分場では、埋めたごみから浸みだしてくる浸出水およびその処理水を採取した。3つの処分場のうち1箇所についても2002年に試料採取を行っているが、その後ごみの埋立は終了しているが浸出水は依然浸みだしており、一種のレガシー汚染の調査となった。採取した水試料はマラヤ大学の現地研究者の研究室でろ過し、ろ紙とろ液を、それぞれ冷凍し、日本に持ち帰った。ろ液の一部は、現地研究室において抗生物質および医薬品分析のために固相抽出を行い、カートリッジを冷凍し日本に持ち帰った。固相抽出効率を補正するためのサロゲートは、2022年12月の渡航前に調整を行った。サロゲートの校正は帰国後LC-MS/MSにより確認した。 持ち帰ったクラン川河口域の水試料と堆積物試料について、ステロール類と直鎖アルキルベンゼンの分析を行い、家庭排水由来の人為負荷を評価した。2016年採取の試料との比較を試みたが、降雨に伴う水量の増加、土壌の流入増により、各成分の濃度の比較は単純には行えなかった。しかし、コプロスタールの組成比からは、屎尿汚染レベルのわずかな悪化が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マレーシア研究者との密な打合せにより、計画した試料の採取ができた。試料の一部を分析した結果、2022年の屎尿汚染状況は2016年と比べ大きな改善はなくむしろ若干の悪化している可能性を明らかにできた。採取した試料について未分析のものあるが、10月に採択の内定を受けてからの短い準備期間で、海外調査を行い、予備的な調査も行えたこと、調査への若手研究者と大学院生に同行してもらい、現地の若手研究者との交流もはかれたことから、プロジェクトはおおむね順調に進展していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度にマレーシアで採取した試料について、抗生物質、合成甘味料、多環芳香族炭化水素類(PAHs)等の分析を行い、その分析結果を踏まえて、マレーシア研究者とzoomデータ解析会を開催する。 インドネシアおよびフィリピンにおける調査について、それぞれ現地研究者と調整を進め、調査を実施する。
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Causes of Carryover |
10月に内定の連絡を受けてから、急ぎで調査のアレンジを行ったが、調査が12月となり、分析を依頼できる学生の卒業・修了時期と重なり、日本に持ち帰った試料について、分析できなかった成分があり、その分、消耗品費と分析学生への謝金が余った。それらの分析項目については2023年度分析の目途が立っており、2023年度の消耗品費として支出する計画である。
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