2023 Fiscal Year Research-status Report
妊娠高血圧腎症の病態形成機構におけるCD4陽性細胞と絨毛細胞の細胞間相互作用の解明
Project/Area Number |
22KK0287
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
津田 さやか 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)
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Project Period (FY) |
2023 – 2025
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Keywords | 妊娠高血圧腎症 / CD4陽性T細胞 / 制御性T細胞 / 絨毛外栄養膜細胞 / シングルセルトランスクリプトーム解析 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常妊娠初期(n=4)・正常妊娠後期(n=3)・妊娠高血圧腎症(PE)(n=3)の子宮内膜CD4+T細胞(エフェクター型ヘルパーT細胞、メモリーCD4+T細胞、制御性T細胞(Treg)を含む)をシングルセルトランスクリプトーム解析に供した結果、正常妊娠後期に比較し、PEでは、Tregに疲弊分子(PD-1等)の発現が増強する一方、メモリーT細胞とエフェクター型CD4+T細胞の一部で活性化マーカー・拒絶反応関連遺伝子の発現増強を認めた(Tsuda S., et al, Frontiers in Immunology, 2024)。 絨毛外栄養膜細胞(EVT)からの補助刺激とT細胞分化の関係ならびPEにおける変化をシングルセルトランスクリプトーム解析にて明らかにするため、サンプルの取得を行った。ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルからのシングルセル遺伝子発現解析Flexを用いることとした。正常妊娠後期23例、PE9例の胎盤をホルマリン固定した。また、T細胞のエピゲノム解析を行うため、単一核解析用の末梢血リンパ球凍結を1例のPE症例から行った。 EVTとT細胞の共培養系の確立のため、EVT cell lineの作成を行った。正常妊娠3例、PE1例からcell lineの確立に成功した。EVT cell lineとprimary EVTの補助刺激分子ならびに遺伝子発現の比較を行うため、両者のフローサイトメトリーと前者のシングルセルトランスクリプトーム解析を行った。フローサイトメトリーでは、両者における補助刺激分子発現は概ね類似していることが明らかとなった。トランスクリプトーム解析は、今後公開データベース上のprimary EVTのデータとin houseデータを比較する予定である。また、EVT cell lineと末梢血リンパ球の共培養の予備実験にて、培養条件の最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスクリプトーム解析用サンプルの収集状況は順調であるが、エピゲノム解析用の凍結T細胞サンプル収集が遅れている。PE胎盤のコンディションが悪く、凍結T細胞が取得できない症例の頻度が予定よりも多かったためである。 共培養系確立のための予備実験は概ね予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ホルマリン固定サンプルのHE染色スライドを複数名でレビューし最適なサンプルを選定したのち、シングルセル解析に供する。エピゲノム解析用サンプル収集の進捗が予定通りにいかないようであれば、細胞分離・保存・シングルセル解析プロトコールを富山大学と共有・標準化し、2か所のコホートを準備する。 EVTとT細胞の共培養系については、アッセイ法の予備実験を引き続き継続し、培養条件とフローサイトメトリーパネルの最適化を行う。
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[Journal Article] CD4+ T cell heterogeneity in gestational age and preeclampsia using single-cell RNA sequencing.2024
Author(s)
Tsuda Sayaka, Shichino Shigeyuki, Tilburgs Tamara, Shima Tomoko, Morita Keiko, Yamaki-Ushijima Akemi, Roskin Krishna, Tomura Michio, Sameshima Azusa, Saito Shigeru, Nakashima Akitoshi
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Journal Title
Frontiers in Immunology
Volume: 15
Pages: 1401738
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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