2012 Fiscal Year Annual Research Report
キネシンモーター分子群の機能と制御の統合生物学的研究
Project/Area Number |
23000013
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣川 信隆 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20010085)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 分子モーター / KIFs / 細胞内輸送 / 微小管 / 癲癇 / 不安神経症 / 線毛 |
Research Abstract |
1)KIF5Aを生後、脳で欠損させたKO マウスは、癲癇発作を呈した。KO マウスの脳、神経細胞では、GABA- A 受容体の樹状突起内の輸送が障害され、樹状突起表面のGABA-A受容体が著名に減少した。KIF5A がGABA-A受容体を輸送し、抑制系神経伝達を制御し、この破綻により癲癇が起こる。(中島等、Neuron, 2012) 2) KIF13A KOマウスは、不安神経症を呈した。KO マウス、神経細胞表面のセロトニン受容体が著名に減少し、KIF13Aが直接受容体に結合し中心部から細胞表面に輸送する事が分かった。KIF13A は、セロトニン受容体を輸送、不安感情を重要に制御する。(Zhou et al. Cell Rep, 2013) 3) KIF19A KO マウスは、水頭症、女性不妊 等の症状を呈し、脳室内面の上衣細胞、輸卵管上皮細胞等線毛上皮細胞の線毛が2-3倍長くなった。線毛がうまく動かず、輸卵管内腔の液の流れが障害された。KIF19A が、ATP 依存性に線毛先端で微小管を脱重合し線毛の長さを制御している事による。KIF19A は、線毛の長さを決め、線毛による細胞外液の流れを制御する。(周等、Dev Cell, 2012) 4) 軸索vs 樹状突起への方向性輸送のメカニズムとしてGTP 型とGDP型微小管の構造の違いを初めてクライオ電子顕微鏡で解明した。(矢島等、JCB, 2012) 5)神経疾患の起因となるβチュブリンのmutationで、軸索内輸送を障害するmutation を明らかにし、これは、βチュブリンH12 helixにあり微小管表面のマイナス荷電を変化しKIFs と微小管の結合を障害し、軸索内輸送を阻害する。(丹羽等、EMBO J, 2013 )
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分子遺伝学的解析により、KIFs の機能とその破綻による疾患が、癲癇、不安神経症、水頭症、女性不妊等予期せぬほどに明らかになり、又レールの微小管の変異による軸索輸送の障害が、Neuropathy 等の疾患の病因となることも解明できた。さらにGTP 型、GDP型微小管の構造的差異をsingle molecule analysis を応用した新しい方法論を開発して初めて明らかにすることができ、方向性輸送のメカニズムの解明が大きく進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に発展しているので予定通り推進する。
|
Research Products
(23 results)