2014 Fiscal Year Annual Research Report
屍体足・人工筋骨格ハイブリッドロボットによる二足歩行の適応機能解明
Project/Area Number |
23220004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細田 耕 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10252610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324605)
清水 正宏 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50447140)
池本 周平 大阪大学, 未来戦略第七部門, 助教 (00588353)
菅本 一臣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40294061)
名倉 武雄 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (90306746)
今西 宣晶 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (00184820)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒト二足歩行 / 足部機構 / レントゲン / 歩行解析 / 二足歩行ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
1.2方向エックス線透過装置による屍体足の観察実験:昨年度に引き続き,2方向エックス線透過装置による屍体足の観察実験を,9回,慶応大学医学部解剖学教室で行った.得られた知見を以下に示す.(1)歩行中に足部にかかる力や幾何学的拘束を再現するための歩行シミュレータ(ロボット)については,研究初年度から開発を進めているが,人間の歩行で生じるような床反力パターンを創り出すために,ロボットをどのように駆動すればよいか,駆動様式とその制御方法について検討を加えた.その結果,ほぼ人間と同等の床反力を再現することができる歩行シミュレータの開発に成功した.(2)歩行シミュレータを用いた屍体足への負荷実験を行い,その際の2方向エックス線透過装置の出力データを得た.そして,その出力データから自動的に骨の位置・姿勢を推定するためのアルゴリズムを開発した.また,実験結果より,足部内の骨の動きを定量的に評価した. 2.足部有限要素モデルによるシミュレーション:有限要素法に基づく足部のモデルを作成し,動的シミュレーションを実施した.その結果,足首に実際の歩行中の変位を与え,アキレス腱などの外来筋に適当な力を発生させることによって,人間の自然な歩行のような床反力パターンを生成できることを示した. 3.ヒト様の足部を持つヒューマノイドロボットの試作と実験:ヒトに見られるような横足根関節の構造を真似たロボット足部を試作し,二足ロボットの装着,歩行を実現することによって,このような関節が歩行の安定性に関与しているという実験データを得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.2方向エックス線透過装置による屍体足の観察実験:歩行中に足部にかかる力や幾何学的拘束を再現するための歩行シミュレータ(ロボット)の改良に関しては,初年度から継続的に進めている.本年度は特に,実験の再現性を確保するためにロボットの剛性を確保し,歩行中の床反力パターンを再現するための外来筋の駆動方法を検討,人間に近い床反力を創り出すための膝機構の検討など,さまざまな点において,歩行シミュレータに改良を加えた.人間に近い床反力パターンを創り出すための条件が出そろってきた,という意味では,非常に意義の深い実験結果が得られつつある. 2.足部有限要素モデルによるシミュレーション:足部の有限要素モデルを構築し,足首部に強制変位を与えることによって床反力を再現することができるかどうかを確認するシミュレーションを行った.その結果,外来筋の制御によって床反力のパターンをある程度変化させることができることがわかった.今後は,このパターンが人間の計測結果とどのくらい合致しているかについての検討が必要である. 3.ヒト様の足部を持つヒューマノイドロボットの試作と実験:人に見られるような横足根関節の構造を真似たロボットの足部を試作し,二足ロボットに装着,歩行実験を行うことによって,この関節が歩行に安定性にどのような影響を与えているかを調査した.エックス線透過装置による観察の結果,横足根関節がかなり大きな変位を生み出していることがわかっており,この観察結果と実験結果が合致しているかどうかを検討することが必要である.前年度までは,屍体足の観察実験で得られた結果が,ロボットの設計に反映されていなかったが,本年度から観察結果をもとにしたロボットの試作,実験が進んでおり,少し遅れがちであった研究スケジュール全体も,当初案通り順調に進み始めたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,研究最終年度として,前年度に引き続き,屍体足を用いた実験を,人工筋駆動ロボットの検討と試作・改良,そして制御則の考案を含め,集中的に実験を行う.そして,得られた結果についての解析を進め,足部に関する仮説の構築に努める.足部シミュレーションについては,前年度までに得られたデータを論文化し,実験例との比較を進める.また,引き続き,足部に関する仮説に基づいたロボットを試作し,その性能についての評価を行い,足部の観察実験の結果との比較,検討を行う. 1.2方向エックス線透過装置による屍体足の運動観察:前年度までの多数の屍体足実験によって,人工筋駆動ロボットを改良,制御についても検討を重ねることによって,生体での歩行状態のある程度の再現が可能になった.また,外来筋の固定方法も確立し,定量的に介入することが可能となった.本年度は,上述のように,定量的に繰り返し実験が行える環境が整ったことを踏まえ,複数の標本についての実験を重ね,標本ごとのばらつきやそれらに共通する性質についての検討を行う. 2.足部内部の運動の解析:25年度に開発した,CT画像より作成した骨モデルをレントゲン動画に自動的にレジストレーションする方法を,実際の実験動画に適用し,骨の相対運動を定量化する.そして,足部に関する仮説を導くことを目標とし,足部内部の運動の解析を進める. 3.足部有限要素モデルによるシミュレーション:前年度までに得られた,足部有限要素モデルに基づくシミュレーションについての結果をまとめ,論文化する.また,屍体足実験で得られたデータと照合することによって,実物の動きをより忠実に再現するためのモデルの詳細化を進める.
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Research Products
(34 results)