2013 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカの潜在力を活用した紛争解決と共生の実現に関する総合的地域研究
Project/Area Number |
23221012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (60191938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山越 言 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (00314253)
大山 修一 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (00322347)
栗本 英世 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10192569)
峯 陽一 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (30257589)
高橋 基樹 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30273808)
池野 旬 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40293930)
平野 美佐 (野元 美佐) 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (40402383)
西崎 伸子 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (40431647)
松田 素二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50173852)
荒木 美奈子 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 准教授 (60303880)
遠藤 貢 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70251311)
佐川 徹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (70613579)
重田 眞義 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (80215962)
島田 周平 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (90170943)
阿部 利洋 大谷大学, 文学部, 准教授 (90410969)
海野 るみ 首都大学東京, 国際センター, 准教授 (40456273)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | アフリカ / 紛争と共生 / ローカルな潜在力 / 和解と社会的修復 / 在来の知識や制度 / 国際社会 / 地域研究 |
Research Abstract |
研究プロジェクトの3年目にあたる本年度には、とくにアフリカにおける「問題解決のための潜在力」の解析を共通テーマとして、以下の具体的な作業をとおして研究をすすめた。 1.計5回の「全体会議」を開催して本研究のメンバーのあいだで情報を共有した。「社会・文化研究ユニット」と「北東アフリカ研究クラスター」の研究成果の一部を全体会議の場で話題提供し、「アフリカの潜在力」に焦点をあてた討論を繰り返した。また、各「研究ユニット」「研究クラスター」も個別に数度の研究会を実施した。 2.京都で"African Potentials 2013: International Symposium on Conflict Resolution and Coexistence"と題する国際シンポジウムを、アフリカ人をはじめとする外国人研究者10人を招へいして実施した(口頭発表16件、ポスター発表13件)。南スーダン共和国の首都ジュバで「第3回アフリカ紛争・共生フォーラム」を開催し、「アフリカの潜在力とは何か」「国際社会や政府が主導する平和構築と草の根のそれとはいかに接合できるか」に関する議論をおこなった。また、「カナダ・アフリカ学会」「アメリカ・アフリカ学会」「国際地理学会議」などでパネルを企画して研究成果を報告して議論を重ねた。 3.研究代表者と分担者はアフリカ各地においてフィールドワークを実施し、また、若手研究者を選抜してフィールドワーク支援をおこなって「アフリカの潜在力」に関する一次資料を収集した。 4.紛争解決と共生の実現のための知識や制度、そしてそれが実際に活用された事例を集積し「アフリカ紛争・共生データ・アーカイブ第1巻」を出版した。また、研究成果は、論文や学会などの口頭発表で公表した。和文、英文のホームページの充実をはかり、研究会やフィールドワークの成果などを発信して広報活動をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.本研究では、紛争解決や共生の実現のために、アフリカ人が編み出し運用してきた知識や制度を「アフリカの潜在力」という考え方に昇華することを目的として議論を重ねてきた。その結果、もめ事を解決し、共存を達成するための方途として、単に「伝統的な村裁判」「長老会議」「和解儀礼」「賠償の支払い」などの仕組みが存在することを指摘するという先行研究の限界を突破し、「語りの力と聴く力」「ねばりづよい折衝」「癒しと共生」「調和の回復」「集合的な判断」という5点の共通特徴を抽出した。 2.本研究では、アフリカ各地で毎年「アフリカ紛争・共生フォーラム」を開催し、また3年目と5年目には日本で「国際シンポジウム」を開催することを企画してきた。現在までに、前者を3回(ナイロビ、ハラレ、ジュバ)、後者を1回(京都)実施している。その成果の一部は”African Potentials 2013” として出版した。さらに2014年度には英文で2冊の成果出版を予定しており、そのための原稿はほぼ出そろっている。 3.「アフリカの潜在力」という概念を鍛えるためには、アフリカ人研究者・実務家の参加を得ることが必須であるが、本研究では、これまでに4回の国際会議(フォーラムとシンポジウム)を実施し、それぞれ10人、10人、8人、17人のアフリカ人を招へいして議論を重ねている。こうした討論を経て、本研究がこれまでに到達した上記 1.と2.の考え方は、アフリカ人研究者・実務家にも、つよく支持されている。 4.本研究では、研究成果を広く世に問うために、国際学会(今までに4回)や国内学会(今までに1回)でパネルを企画して成果を発信して議論を深めてきた。2014年度にも、国際人類学民族科学連合中間会議(IUAES、5月に幕張で開催)と日本アフリカ学会(5月に京都で開催)の場で企画パネルによる成果発表をおこなうことが確定している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.アフリカの各地において、現地調査を実施して一次資料の収集を継続する。 2.「全体会議」を2ヵ月に一度のペースで継続し、各「研究ユニット」と「研究クラスター」の研究会も随時、開催する。国際社会の関与など、外来の紛争解決方法に関して国際関係論、国際法学、政治学などが蓄積してきた成果と、本研究で実施してきた「アフリカの潜在力」に関する分析を相互参照しつつ、「アフリカの潜在力」の活用に向けた実践的な方途を議論する。また、国際学会、国内学会でパネルを企画して成果を公表して、議論をかさねる。 3.2014年度と2015年度には、第4回と第5回「アフリカ紛争・共生フォーラム」をカメルーン・ヤウンデとエチオピア・アジスアベバにおいて、アフリカ人研究者・実務者・政策立案者を招聘して開催する。 4.研究成果を和文で全5巻として2015年度末までに出版するために、原稿を2015年3月までに集めて編集作業を進める。英文による成果出版は、1冊は”Conflict Resolution and Coexistence in Southern Africa: Realizing African Potentials” として、2014年度内に商業出版する。もう1冊は、African Study Monographs, Supplementary Issue (Kyoto University) の論文集として、2014年8月までに出版する。紛争解決と共生の実現のための知識や制度、そしてそれが実際に活用された事例を集積し「アフリカ紛争・共生データ・アーカイブ」を出版する。 5.研究成果は、随時、論文や国内外の学会における口頭発表で公表するほか、ホームページを活用して迅速に公開する。
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Research Products
(115 results)