2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23224001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 郁 北海道大学, -, 名誉教授 (50022687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 克則 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00176538)
小野 薫 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20204232)
翁 林 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (60304002)
寺尾 宏明 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90119058)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アーベル多様体 / モジュライ理論 / パンルヴェ方程式 / ハミルトン構造 / 量子コホモロジー / ゼータ関数 / ガウス分布 / 超平面配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、研究代表者の研究について報告する。主要な目標は(1)良い素点でのアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を詳しく記述する. (2)悪い素点までアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化(以後、整モデルと呼ぶ)を拡張する.そのため,モジュラー曲線に関するKatz-Mazur理論を高次元化する.(3)マッカイ対応の研究。 今年度は(2)への応用を見込みながら(1)について集中的に研究した。良い素点でのアーベル多様体のモジュライ空間の第二のコンパクト化(これ自身完備なモジュライ空間)からAlexeevの完備なモジュライ空間への単射写像を構成し、二つのモジュライ空間の構造を比較した。査読報告を得たが、改訂期限が短く改訂を提出できなかったので、別途再投稿のために改訂中である。また、小さいレベルを含めすべての場合に第2のコンパクト化を構成した。後者の論文は79ページで受理され印刷中である。この他、代数幾何学的にかなり一般の状況で、構造層の順像が底空間の自明な直線束になることを証明した。三井健太郎(神戸大学)との短い共著論文として現在投稿中。また2次元マッカイ対応の大域化についてほぼ最終的な結果を証明、論文を執筆中。 WengはWengゼータ関数の零点の分布が、リーマンゼータ関数と同様に標準的ガウス分布を示すという実験結果を得た、さらに、精密な実験を遂行中である。岩崎はパンルヴェ方程式の分野では,パンルヴェ第I方程式の軌道体ハミルトン構造に関する岡田 脩との共著論文が受理された。超幾何関数の分野では前年度に引き続き,超幾何級数がいつガンマ乗積表示を持つかという問題に取り組み、漸近解析やディオファントス解析的な部分について論文を執筆した。寺尾はユニタリ配置の不変式環の調和的な生成元の存在を証明、論文を執筆投稿した。小野は量子コホモロジーのある種の冪等元に対して、superheavyなラグランジュトーラスが存在することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進展している。小さいレベルを含めすべての場合に第二のコンパクト化を構成した。これは受理され、近く出版される。論文「2つの完備なモジュライ空間の比較」はほぼ完成しているが、現在改訂中である。これらの論文で証明できた事実が整モデルの構成に重要な役割を果たす。また、2次元マッカイ対応の大域化でほぼ最終的な結果を得た。Wengゼータ関数の零点の分布について新しい予想とそれを支持する計算結果を得た。パンルヴェ方程式、超平面配置、量子コホモロジーについても新しい進展があった。以上の点から、研究は全体的には順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は予定通りに進展し、一部では予想上の広がりを示しており、今後の研究テーマとしても好ましい状態が生まれている。したがって、研究計画はそのままで研究を継続する。
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Research Products
(92 results)