2011 Fiscal Year Annual Research Report
水分子準平衡モデルに基づく大型RC-PC社会基盤構造の長期動態予測
Project/Area Number |
23226011
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80157122)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 剛史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60292645)
半井 健一郎 広島大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10359656)
浅本 晋吾 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50436333)
千々和 伸浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (80546242)
|
Keywords | コンクリート / クリープ / 過剰変形 / 自己収縮 / 乾燥収縮 / 水分平衡 / 細孔構造 / 橋梁 |
Research Abstract |
(1)時間依存型構成則の高度化:セメント硬化体中のゲル空隙に捕捉される水分移動抵抗性に焦点を当てて,短-中期において進行する時間依存塑性変形の予測精度の向上を図った。その結果,本研究の基盤をなすsolidification modelによる自己収縮計算並びに低水セメント比配合コンクリートの乾燥収縮特性の予測精度を格段に向上させることができた。この成果を用いて,自己収縮の過大な配合によって鉄筋コンクリート部材のせん断耐力が低下する現象を,マルチスケール解析の中で再現することが可能となった(本成果は平成24年コンクリート工学会賞に内定)。 (2)小規模中空プレストレストコンクリート要素を用いた時間依存曲率の計測とモデル検証:実験室内並びに東京大学工学部柿岡実験場に小規模コンクリートセグメントを建設し,プレストレスを導入して曲率の経時変化を実環境下で計測した。配合の異なるコンクリートを一体化し,環境作用のみで変形が導入される系を再現した。室内試験との差から,降雨降雪の影響を逆解析することが可能となった。(1)による解析による挙動追跡を実施し,中期変形予測の方向性を得た。平成24年度に実施予定の中大規模試験体-模擬橋梁-の予備実験としてのデータも併せて収集することができた。あわせて,長期データの転送システムの検証を行うことができた。 (3)地中に埋設された基礎杭及び地中コンクリートカルバートへの地盤拘束:模型実験による地中基礎杭に作用する地盤拘束力,および地盤沈下に.よってカルバートに作用する過剰作用・変位を実証する小型実験を実施し、数値モデルの検証データを得た。 (4)コンクリートひび割れ内を移動する水分とひび割れ開閉挙動との連成モデル:ひび割れ内に吸引あるいは排出される水の移動と貯留に関する基礎方程式を導出し,この離散式を連成数値解析システムDuCOM-COM3に取り入れた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた時間依存性モデルの高度化,柿岡実験場における現地計測の体制確立,長期過剰たわみ特性の追跡に関与する水分の影響の特定,地下構造の過剰変形の全てを検討し,大筋を把握することができた。同時に,地下構造の過剰変形の原因に周辺地盤の沈下が関与していることも浮上してきた。よって,当初計画の内容のほかに,過剰変形を受けている実地下構造周辺地盤状況を詳細調査する必要性も明らかになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
過剰変形している地下カルバートの原因究明において長期水分動態が関与していると同時に,周辺地盤の中長期沈下あるいは圧密も関与していることが,新たな重要問題として浮上してきた。これは,既往の地下構造物の設計において陽に考慮されておらず,この機構が判明すれば,地下構造建設において不可避なリスクに対する設計対応法に繋がり得るため,本研究において是非とも解明したい。そこで,過剰変位している実地下構造周辺の埋め戻し土の詳細なボーリング調査と物性調査を,当初研究計画に追加することとしたい。
|
Research Products
(8 results)