2014 Fiscal Year Annual Research Report
「パルス中性子による物質材料および空間場の組織構造・物理量イメージング」
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23226018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鬼柳 善明 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80002202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古坂 道弘 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60156966)
宇野 彰二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (70183019)
持木 幸一 東京都市大学, 工学部, 教授 (80107549)
篠原 武尚 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (90425629)
加美山 隆 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50233961)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線 / イメージング / 材料組織構造評価 / 磁場イメージング / 中性子 / 画像検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
焼入れ鉄について、格子面間隔分布とビッカース硬さ間に比例関係があることを示した。また、日本刀等について、製造過程の考察に有用と思われる、結晶組織情報の2次元情報が得られた。強塑性加工(ECAP加工)後のAl-Ni合金の引張試験中のBragg-edge測定を行い、弾性域・塑性域でのエッジスペクトルの形状が組織変化に依存していることが分かった。結晶格子ひずみのテンソルCT画像再構成シミュレーションでは、逆投影過程を最適化することが精度向上のために最も重要であること、また、非軸対称ひずみ分布測定において回転軸を変えれば、再構成がうまく行く可能性があることが示唆された。小角散乱イメージング用に製作したマルチピンール装置を用いて小角散乱の測定を行った。共鳴吸収イメージングでは、バックグランド低減のため、試料~検出器間距離の最適化や共鳴フィルター法を試験した。AgとCuの測定で、1~5%の精度で定量化ができた。 水素吸蔵合金の中でも標準的な特性を示すLaNi5の測定を行った。吸蔵後のLaNi5H6水素化物相の透過率は、吸蔵前のLaNi5に比べ低い値を示した。全断面積値、水素の振動状態については解析中である。 磁気イメージングでは、3次元偏極度解析のデータから、小型コイル内部の磁場積分強度について2次元分布を10%以内の精度で得られた。また、回折格子を用いた位相コントラスト用機器を整備し、Talbot-lau干渉計によるモアレ縞を、世界で初めてパルス中性子で取得に成功した。 カメラタイプ検出器では、取得データの質の改善を行うとともに、中性子によるブラッグエッジ測定を実施し、所期のデータを取得できた。GEM検出器は、検出効率向上のために、二つの多孔コンバーターを試作した。平面性を重視した試作品は、ビームテスト結果はあまり良くなかった。薄さを重視したものは製作を完了し、今後テスト実験を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は全体として計画通りに進んでいる。ブラッグエッジイメージングでは、焼き入れ鉄の解析から結晶面間隔とビッカース硬さに直線的な関係があることを明確に示すことができた。これは位置依存で連続的にデータが得られるイメージング法の威力であり、今後、非破壊での硬さ測定に道を開く可能性があり、全く新しい方法として期待される。日本刀や火縄銃など鉄文化財の研究においては、新しいデータが取得され解析が進められている。非破壊測定が望まれる文化財研究では、パルス中性子イメージング法が注目されており、新聞でも紹介された。材料製作過程への応用として強加工材についての研究も新たな結果が得られている。歪CTは難しい方法であるが、着実に進捗してきている。小角散乱イメージング法も予定通りに実施されている。共鳴イメージング法では定量測定に必要な解析コードが開発され、その有用性も検証された。 位相コントラスト法の開発では、当初計画で外注する予定であった回折格子を、アングルロータを購入し、東北大との協力で自作の道が開けた。さらに、J-PARCで位相コントラスト実験体系を組みあげ、世界で初めてパルス中性子での実験に成功した。異なった波長での測定が同時にできるため、異種情報が同時に得られる新しい手法となる可能性がある。 カメラ型検出器が飛行時間法でデータを各時間チャンネルで積算できるというシステムを完成させ、実際の測定でも飛行時間スペクトルの測定に成功している。これは、J-PARCのような高中性子強度場での使用に耐えるように考えていたものであるが、既にJ-PARCに同機種が納入され、高強度場で十分使えることが示された。 以上、概要を記したが、本課題はパルス中性子イメージング全体の開発研究に渡っており、広くなっているが、それぞれの個別課題で進展が得られており、本分野の発展に貢献している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度であるので、以下に示すように、これまでの研究の継続とそのまとめを行っていく。 (構造情報イメージング法)焼入れ鉄の透過データは、ひずみCTおよび焼入れ部の結晶組織構造解明に重要であり、その検討を行う。マルテンサイト相のCTが可能となれば、色々な実材料への応用の可能性が開かれる。文化財研究では、日本刀などの測定を引き続き進め、金属結晶工学的にどのようなデータが取得可能か詳細に検討し、この手法の適応性を明らかにする。共鳴吸収イメージングでは、元素定量評価精度向上の検討のほかに、温度測定においては、対象核種を拡大し精度評価等を実施する。小角散乱イメージングでは、昨年度に引き続き、小角散乱の再構成を進める。 (磁気イメージング法と位相コントラスト法)磁気イメージングは中性子でしかできない方法であるので、その測定法の確立を目指し、引き続き偏極パルス中性子イメージングデータの解析手法開発、磁場強度とその方向の定量化法の開発を進める。また、パルス中性子における回折格子を用いた位相コントラストでは、複数の波長条件で画像を取得し、波長依存の効果を検証し、パルス中性子の優位性について検討を行う。 (含水素関係)中性子の得意元素の水素について、その場観察による水素吸蔵合金、水素化合物相の研究を進める。 (検出器開発)検出器はまだまだ開発要素があり、GEM型検出器、カメラ型検出器について、性能評価を継続して行うとともに、応用実験を行い、その有用性を検証していく。
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Remarks |
研究に関する新聞掲載2件(日刊産業新聞、2014年7月8日2面および2015年4月9日3面)
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Research Products
(44 results)
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[Presentation] Pulsed neutron imaging2014
Author(s)
Y. Kiyanagi, H. Sato, Y. Shiota, H. Hasemi, T. Kamiyama, T. Shinohara, T. Kai
Organizer
2nd International Symposium on Science at J-PARC
Place of Presentation
つくば市、茨城県
Year and Date
2014-07-14
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