2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア機能による老化調節機構の解明と抗老化食物質の探索
Project/Area Number |
23228003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60136786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八村 敏志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (40238019)
宮川 拓也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50596559)
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Keywords | 老化 / 抗老化 / ミトコンドリ / 食品 / 食物質 |
Research Abstract |
本研究は、聴覚神経細胞のアポトーシス促進因子Bakとカロリー制限時にアポトーシス抑制に働くSirt3に焦点を当て、老化・抗老化の分子機構の解明を第一の目的としている。このために、以下のような研究を実施した。(1)Sirt3を介した抗老化機構に関わる候補因子の推定:12月齢の野生型マウス、カロリー制限した野生型及びSirt3ノックアウトマウスについて、DNAマイクロアレイデータを取得した。現在、それらの遺伝子変動の比較解析を進めている。(2)老化調節因子の相互作用ネットワークの解析:Sirt3と相互作用する因子の解析を進め、現在までに、GSRとIdh2に加えて各種の抗酸化酵素が候補因子として挙がっている。一方、他の組織についても検討を進め、特定の免疫細胞においてIL-6の産生が加齢により元進していることを確認した。また、加齢による腸管免疫細胞のマイグレーション能の変化を解析する実験系を構築した。 第二の研究目標である老化調節因子を標的とした機能性食物質の同定のために、Sirt3及びBakと相互作用する食物質の探索研究の基盤構築を進めた。(1)化合物のin silicoスクリーニング:統合計算化学システムMOEを利用し、Sirt3(PDB ID:3GLR)の触媒部位とBak(PEB ID:2YV6)のBH3ドメインを標的として化合物データライブラリーのドッキングシミュレーションを行い、相互作用する候補化合物を探索した。(2)相互作用評価系の構築:SPR分子間相互作用解析システムを用いて、Bakとの相互作用評価系を構築した。また天然化合物バンクの化合物アレイスクリーニングを利用するために、検出用タグを融合したBakタンパク質を調製した。以上より、Bakに関して化合物スクリーニングを実施する実験系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内耳組織におけるBakを中心としたミトコンドリア局在アポトーシス関連因子の解析が十分に達成されていないこと、Sirt3活性測定系についてはスクリーニング評価可能なスループット性をもつ系の構築に至っていないこと、が当初の計画に比べて遅れている点である。
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Strategy for Future Research Activity |
Sirt3及びBakに加えて、Sirt3の標的候補因子である抗酸化酵素群を足掛かりとして、遺伝子とタンパク質の双方から相互作用ネットワーク解析を展開する。そのために、カロリー制限マウスを含む各種マウスから内耳組織を継続的に供給する体制を構築して取り組む。また、当初計画の通りに食物質に絞ったスクリーニング解析ではライブラリー数がかなり制限されるため、今後は既に利用可能な天然化合物ライブラリーを利用した網羅的探索を推進し、ヒット化合物の構造活性相関から機能性食物質の同定にアプローチすることで効率化につなげる。その基盤となるスクリーニング系の構築を最優先課題として推進する。
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