2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア機能による老化調節機構の解明と抗老化食物質の探索
Project/Area Number |
23228003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60136786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八村 敏志 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40238019)
宮川 拓也 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50596559)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 老化 / 抗老化 / ミトコンドリア / 食品 / 食物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ミトコンドリア機能を介した老化調節機構の解析:①老化調節因子の解析では、カロリー制限時にSirt3を介して発現変動するPip4k2bに着目し、それが関わるPI3K/Akt経路のタンパク質発現量と翻訳後修飾を解析した。また、各因子の酸化ストレスやBakの発現誘導等に与える影響を評価するために内耳細胞培養系を構築した。②免疫老化におけるミトコンドリア機能障害の関与と機構の解析では、加齢によるストローマ細胞の炎症性サイトカイン産生亢進機構を解析するための細胞培養系を構築した。 2)抗老化食物質の探索と評価:①Sirt3活性評価系を用いた食物質探索により、フラボノイド骨格をもつポリフェノールがSirt3を阻害することが示され、その構造活性相関を解析した。ある種の癌細胞ではSirt3活性の亢進が報告されていることから、同定した食物質による癌細胞抑制の評価を進めた。②免疫老化の食物質による調節機構を解析し、高齢マウスの腸間膜リンパ節において、T細胞の腸管指向性付与に関与するRALDH2の発現が高い樹状細胞サブセットの割合が、若齢マウスと比較して低下していた。また、免疫老化に関与するとされるPD-1を発現するT細胞が増加していた。これらが加齢による腸管免疫の機能低下の一因であることが示唆された。 3)老化調節因子の構造解析と食物質の作用機序の解析:イソクエン酸脱水素酵素Idh2の活性に影響するアセチル化修飾部位を同定した。このアセチル化修飾を模倣したIdh2変異体の結晶構造を決定し、アセチル化修飾によるIdh2の活性調節機構が示唆された。また、Sirt3の活性調節に機能するフラボノイド類について、Sirt3との複合体構造解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ミトコンドリア機能を介した老化調節機構の解析」に関しては、これまでにマウスから摘出した内耳組織等を用いて解析が進んでいる。また、内耳細胞やストローマ細胞の培養系を構築したことにより、カロリー制限による内耳細胞のアポトーシス抑制ならびに加齢による炎症性サイトカイン産生亢進の分子機構の解明がさらに進むことが期待される。「抗老化食物質の探索と評価」に関しては、前年度に改善したSirt3活性評価系を用いることにより、Sirt3の活性調節に機能するフラボノイド類を同定するなど探索研究が進展した。今後はさらに広範な食物質の評価を進めるとともに、同定したフラボノイド類とSirt3の複合体構造解析により、「食物質の作用機序」に関する成果が見込まれる。一方、本研究で対象としているミトコンドリア機能調節経路の主要な因子であるIdh2のアセチル化修飾模倣体の構造決定に成功した。これにより、アセチル化修飾による活性調節機構に関する新規知見が得られ、「老化調節因子の構造解析」に関して研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の研究目標の達成に向け、1)ミトコンドリア機能を介した老化調節機構の解析、2)抗老化食物質の探索と評価、3)老化調節因子の構造解析と食物質の作用機序の解析について、これまで得られた成果に基づいて推進する。 1)構築した細胞培養系およびSirt3欠損マウスを用いて、カロリー制限時にSirt3を介した内耳細胞のアポトーシス抑制に機能する因子を解析する。また、加齢による炎症性サイトカイン産生亢進におけるミトコンドリア機能障害の役割を解明する。 2)Sirt3等の老化調節因子の活性を調節する食物質の探索を引き続き行い、細胞培養系等を主に用いて活性を評価する。また、加齢に伴って変動するミトコンドリア代謝物を解析し、それらがミトコンドリア機能に及ぼす影響を評価する。これによりミトコンドリア代謝物の観点から抗老化食物質の探索を進める。一方、免疫老化の食物質による調節作用の解析については、腸管免疫における免疫老化機構の解析結果をもとに、乳酸菌による機能低下回復機構を明らかにする。また、食物アレルギーモデルマウスを用いて加齢のアレルギーへの影響を明らかにし、食物質による炎症抑制機構を解明する。 3)Sirt3と同定したフラボノイド類等の食物質との複合体構造を解析し、その作用機序を明らかにする。また、Idh2等のミトコンドリア老化調節に関わる因子の構造解析も引き続き実施し、それらの分子基盤を解明する。
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Research Products
(49 results)
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[Journal Article] Peyer’s patches and mesenteric lymph nodes cooperatively promote enteropathy in a mouse model of food allergy.2014
Author(s)
Haruyo Nakajima-Adachi, Akira Kikuchi, Yoko Fujimura, Kyoko Shibahara, Tsuyoshi Makino, Masae Goseki-Sone, Miran Kihara-Fujioka, Tomonori Nochi, Yosuke Kurashima, Osamu Igarashi, Masafumi Yamamoto, Jun Kunisawa, Masako Toda, Shuichi Kaminogawa, Ryuichiro Sato, Hiroshi Kiyono, Satoshi Hachimura
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Journal Title
PLoS One
Volume: 9
Pages: e107492
DOI
Peer Reviewed
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