2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23229004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清野 宏 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10271032)
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Keywords | 粘膜免疫 / 膣粘膜感染症 / 膣粘膜指向性関連分子 / エフェクターT細胞 / ケモカイン |
Research Abstract |
平成23年度は、まずモデル抗原オボアルブミン(OVA)と粘膜アジュバント(コレラトキシン:CT)を用いて経鼻免疫および経眼免疫によって誘導される抗原特異的免疫担当細胞の膣粘膜組織指向性を決定する分子機構について解明を進めた。我々が樹立したOVA特異的MHCクラスIIテトラマーを用いて、OVA特異的メモリーCD4 T細胞を各組織より単離し、解析する予定であったが、テトラマーの活性が低下していることがわかり、再調整が必要となった。その間に、次年度から開始する予定であった膣粘膜感染症の原因ウイルスであるヘルペスウイルス(HSV-2) を用いた感染マウスモデルの確立を前倒しで開始した。HSV-2の弱毒株を経鼻免疫すると、実際に膣粘膜組織において野生型HSV-2に対する防御免疫応答が認められることを確認した。本研究において作製したEGFP発現HSV-2をマウスに経鼻免疫した後に、免疫組織学的解析法、HSV-2特異的プライマーを用いた定量PCR法およびin vitro共培養系を駆使して解析した結果、 1)HSV-2が鼻腔粘膜上皮細胞に感染し増殖する。 2)鼻腔粘膜樹状細胞がそのウイルス抗原を補足・処理した後、頸部リンパ節において未感作CD4 T細胞に抗原提示する。 3)誘導されたHSV-2特異的エフェクターCD4 T細胞が膣粘膜やその所属リンパ節へ移動する。 以上、HSV-2特異的エフェクターCD4 T細胞誘導とその動態機構について細胞生物学的知見が得られ、次年度以降の研究基盤を確立した。尚、OVA特異的テトラマーに関しては近く再開する予定である。さらに、CTのBサブユニットのMHCクラスIIテトラマーの作製にも成功し、OVAとCT両特異的CD4 T細胞を単個細胞レベルで解析する実験系が確立された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル抗原OVAを経鼻免疫したマウスを用いて、膣粘膜に誘導される抗原特異的エフェクターCD4 T細胞の解析に着手したが、解析に必要であるMHCクラスIIテトラマーの活性が低く、再調整を余儀なくされた。しかしながら、より生理学的に意義のあるHSV-2膣粘膜感染症モデルを用いて、経鼻投与により誘導される抗原特異的エフェクターCD4 T細胞の膣粘膜指向性を解析するための基盤を確立することができたため、計画全体としては成果を挙げることが出来ている。さらに、粘膜アジュバント・抗原として使用するCTに関しても、そのBサブユニット特異的MHCクラスIIテトラマー作製に成功したことで、より詳細な抗原特異的エフェクターCD4 T細胞の呼吸器-生殖器間誘導・移動に関連する分子メカニズム解明に向けた実験システムが構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
抗原特異的エフェクターCD4 T 細胞をin vitroおよび個体レベルで解析するために抗原特異的MHCクラスIIテトラマーおよびTCRトランスジェニックマウスを用いる。モデル抗原(OVAとCT)経鼻投与マウスの解析に関しては、OVA特異的MHCクラスIIテトラマーを再調整し、また、最近確立したCTB特異的MHCクラスIIテトラマーを駆使して実験を進める。一方、膣粘膜感染症原因ウイルスHSV-2特異的エフェクターCD4 T 細胞の解析には、HSV-2特異的MHCクラスIIテトラマーおよびTCRトランスジェニックマウスの作製が必要である。そこで、合成ペプチドとin vitro培養系を用いたペプチドマッピングにより、HSV-2の抗原タンパク質由来ペプチドのうち、高いエフェクターCD4 T細胞誘導能を有する配列を決定する予定であった。しかしながら、ウイルス由来タンパク質の構成ペプチド全てを検討するのは非常に困難であることが判明したため、まず、HSV-2を経鼻免疫したマウスよりHSV-2由来抗原に対して反応性の高いエフェクターT細胞を選択した後にT細胞ハイブリドーマを作製し、そのハイブリドーマが認識するペプチド配列を決定してMHCクラスIIテトラマーを作製するとともに、TCRの遺伝子配列をもとにしたTCRトランスジェニックマウスを作製する方法に変更した。
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Research Products
(19 results)