2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23229004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清野 宏 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10271032)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 粘膜免疫 / 膣粘膜感染症 / 膣粘膜指向性関連分子 / エフェクターT細胞 / ケモカイン |
Research Abstract |
本年度は、膣粘膜における野生型ヘルペスウイルス(HSV-2)感染に対する防御免疫応答には、免疫により誘導されたHSV2-CD4 T細胞が膣粘膜組織に長期間局在することが重要であり、この膣粘膜局在性HSV2-CD4 T細胞は注射による腹腔免疫では誘導されないことを明らかにし、経鼻免疫ワクチンの有用性を証明した。さらに、この経鼻免疫により誘導されるHSV2-CD4 T細胞の膣粘膜指向性および局在性の分子機構について今後さらに詳細に解析する目的で、HSV-2抗原特異的MHCクラスIIテトラマーおよびTCRトランスジェニックマウスの作製を開始し、現在も進行中である。具体的には、HSV2-CD4 T細胞をメラノーマ細胞と融合させたCD4 T細胞ハイブリドーマの作製を完了しており、次年度に向けた基盤を確立した。また、エフェクターT細胞の膣粘膜指向性分子機構については、経鼻免疫した野生型マウスの膣粘膜組織CD4 T細胞においてケモカインレセプターCXCR3を代表とするいくつかの細胞の遊走に関与する分子の発現上昇が確認されており、次年度以降に解析する候補の分子が既に絞られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OVA特異的MHCクラスIIテトラマーの再調整が完了し、モデル抗原OVA経鼻投与マウスにおけるOVA特異的エフェクターCD4 T細胞の解析基盤が確立した。一方、HSV-2膣粘膜感染症モデルを用いて、経鼻免疫により誘導されるエフェクターT細胞が膣粘膜局所に感染時まで保持されることが防御免疫応答に重要であることが明らかとなった。この膣粘膜局在性HSV2-CD4 T細胞は、注射による腹腔免疫では誘導されないことが示され、経鼻免疫ワクチンの有用性が明らかとなった。また、エフェクターCD4 T細胞に発現しているケモカインレセプターCXCR3をはじめとする膣粘膜指向性分子についても候補が絞り込まれた。さらにエフェクターCD4 T細胞を詳細に解析するためのトランスジェニックマウスおよびMHCクラスIIテトラマー作製のためにHSV-2特異的CD4 T細胞をメラノーマ細胞と融合させたCD4 T細胞ハイブリドーマの作製を完了している。変更後の計画に従い順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、経鼻免疫により誘導されるHSV2-CD4 T細胞の膣粘膜指向性および局在性の分子機構についてさらに詳細に解析する。しかし、経鼻免疫により実際に膣粘膜に誘導されるHSV2-CD4 T細胞の割合は非常に少なく、効率的な解析にはやはり抗原特異的TCRトランスジェニック(Tg)マウスが必須であることがわかった。HSV-1特異的TCR TgマウスのCD8陽性細胞はHSV-2も認識しうることが報告されており、我々の実験系にも流用出来る可能性があったため、今年度から進めているHSV-2抗原特異的TCR Tgマウスが利用可能になるまでの間、HSV-1のglycoprotein D (gD) 特異的TCR Tgマウス(gDT-IIマウス)をメルボルン大学のDr. Andrew Brooksより貸与頂き、このマウスを用いて研究を遂行する予定である。まず、経鼻免疫したgDT-IIマウスにおける、ケモカインレセプターなどの細胞遊走に関与する分子の発現変化について網羅的に解析し、得られた候補分子を欠損するマウスを入手もしくは作製する。これらのマウスとgDT-IIマウスとかけ合わせることで、膣粘膜指向性分子欠損gDT-IIマウスを作出し、HSV-2の経鼻免疫で膣粘膜に誘導されるエフェクターCD4 T細胞を比較、解析する予定である。HSV-1とHSV-2におけるgDの相同性は82%と高いものの、上記gDT-IIマウスはHSV-1 gDに特異的なTCR Tgマウスであるため、HSV-2に対しては機能しないことも想定される。したがって、HSV-2特異的なTCR TgマウスおよびMHCクラスIIテトラマーの作製は次年度も引き続き行う。
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Research Products
(21 results)