2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23229009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 壽一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90176339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尻 真一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00532970)
平海 晴一 岩手医科大学, 医学部, 講師 (10374167)
中川 隆之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50335270)
坂本 達則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60425626)
山本 典生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70378644)
田浦 晶子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70515345)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 内耳 / 再生 / 発生 / 幹細胞 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生13日齢マウス蝸牛から単一細胞を単離してRNA抽出、その後cDNA作成してPCR反応を行い、ハウスキーピング遺伝子のcDNAが合成されていることを確認できた細胞のうち、内耳感覚上皮前駆細胞のマーカーであるSox2が多く発現している細胞を28個採取できた。これらの細胞のcDNAを用いてマイクロアレイを行いそれぞれの細胞の網羅的遺伝子発現プロファイルを得た。これらのプロファイルを比較して同様のプロファイルをもつ者同士を一つのグループにまとめることができるよう、自己組織化マッピングを行った。その結果、4つのグループを形成することができ、それぞれのグループを代表するようなマーカー遺伝子について発現部位などを検索中である。 先天性高度感音難聴患者に対する遺伝子解析では、現在人工内耳手術を行った内耳・内耳道奇形を持つ患者11人とその家族サンプルの一部について次世代シークセンサーを用いて解析を開始した。 生後マウス内耳器官培養においてIGF-1(インスリン様成長因子1)が有毛細胞の保護を行う過程で、その下流分子としてNetrin1とGap43があることを昨年示したが、この結果に基づき、Netrin1の内耳有毛細胞保護効果について検討中である。 昨年までに、ヒトiPS細胞(201B7株)を無血清培地で一定期間培養し、さらにこれらの細胞群を一定期間bFGFで処理した結果内耳前駆細胞様の細胞の誘導を確認したが、本年はその再現性をとる実験を行った。Six1, E-cadherin共陽性のpreplacodal 様細胞へは97.4%が分化していることが分かった。さらにPax2陽性、p63陰性の内耳前駆細胞様細胞の誘導効率は0.047%であることが確認された。さらに、約50日間培養することにより、有毛細胞様の細胞の誘導にも成功した。有毛細胞のマーカーであるMyosin7a陽性細胞は0.01%の確率で誘導できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在我々は、胎生13.5マウス蝸牛から、単一細胞を分離してその遺伝子発現プロファイルを収集している。すでに28個の内耳感覚上皮前駆細胞の遺伝子発現プロファイルを得ており、これらの前駆細胞をあらたに遺伝子発現プロファイルに基づいて分類している。このデータをもとに各分類をよく表す遺伝子の同定を行い、それらの発現パターンについて解析を行っているところである。これによって、発生途上の蝸牛において感覚上皮が形成されていくときに重要な遺伝子を発見することができ、内耳発生の全容の解明という世界に類を見ない解析を完了することができると思われる。 また、生後有毛細胞の傷害に対する保護作用を有するIGF-1の下流の分子としてNetrin1の有毛細胞保護作用についての検討を行っている。 内耳蝸牛の再生を行うには、内在性の幹細胞を活性化することが必要で、我々が現在見つけようとしている発生に重要な遺伝子の操作もそのような細胞に対して行うことによって効率的に行える可能性が高い。我々は、世界に先駆けて、蝸牛内の幹細胞の位置の候補として、Tympanic border cellを2012年に報告した。その後、米国の他グループからもこの結果を支持する報告がなされた。 これまではマウスの多能性幹細胞を用いた有毛細胞や内耳感覚上皮の誘導が報告されていたが、我々はヒトiPS細胞を用いて無血清にて有毛細胞様細胞を誘導することに成功した。 以上のように、本研究では、内耳発生の解明と再生手法の開発という目標に向かい順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.網羅的遺伝子発現解析については、胎生13.5日の蝸牛から単離したSox2陽性細胞の数を現在の28個から50個程度まで増やすうえで、遺伝子発現プロファイルに基づいてクラスタリングの手法で分類し、各種の感覚上皮前駆細胞を構成する細胞間での違いを遺伝子発現パターンの観点から検証していく。これにより、遺伝子発現パターンの観点で内耳発生を明らかにし、各段階の分化マーカーを同定していく。 2.先天性高度感音難聴患者に対する遺伝子検査については患者数を増やすことによって、今まで報告されていない遺伝子異常を発見するため現在の倍以上のサンプル数の集積を目標に患者のリクルートを進める。 3.昨年に引き続き、1,2の実験によって同定された遺伝子、マーカーの発現部位、時期の確認を形態学的に観察する。さらに、確認が終わった遺伝子の内耳特異的あるいは時間特異的なノックアウトマウス用いて、内耳形態の観察、聴覚機能測定を行い遺伝子の機能を確定する。 4.内耳感覚上皮再生手法の確立のため、これまでの本研究で世界の研究室に先駆けて成功しているヒトiPS細胞から内耳有毛細胞様細胞への誘導の効率をさらに高めるために、同定された遺伝子の導入あるいは機能阻害を行い感覚上皮、有毛細胞への誘導を促す。IGF-1やその下流分子もそのような遺伝子の候補の一つである。まったく別の臓器に、目的臓器特異的な遺伝子を複数導入することにより目的臓器を作り出す、Direct conversionの際に導入される遺伝子の多くは目的臓器の発生に関わる遺伝子であるため、それらの組み合わせて内耳感覚上皮へのDirect conversionの有無を検定する。 5.上記実験で確立された候補遺伝子と操作方法をin vivoの蝸牛に行って、形態の観察、聴覚機能の検定を行い内耳感覚上皮再生の有無を確認する。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] A randomized controlled clinical trial of topical insulin-like growth factor-1 therapy for sudden deafness refractory to systemic corticosteroid treatment.2014
Author(s)
Nakagawa T., Kumakawa K., Usami S., Hato N., Tabuchi K., Takahashi M., Fujiwara K., Sasaki A., Komune S., Sakamoto T., Hiraumi H., Yamamoto N., Tanaka S., Tada H., Yamamoto M., Yonezawa A., Ito-Ihara T., Ikeda T., Shimizu A., Tabata Y., and Ito J.
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Journal Title
BMC Med
Volume: 12
Pages: 219
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Gene therapy and novel drug delivery systems2015
Author(s)
Juichi Ito
Organizer
Royal Society of Medicine, British society of Otology and Action on Hearing Loss : Novel interventions for the human cochlea: Emerging research and therapies
Place of Presentation
London, UK, Royal Society of Medicine
Year and Date
2015-02-05
Invited
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[Presentation] 内耳再生医療の現状2015
Author(s)
伊藤壽一
Organizer
第73回新都心ENT臨床研究会
Place of Presentation
東京医科大学病院6階臨床講堂(東京都)
Year and Date
2015-01-31
Invited
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