2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23241068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 郁朗 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40305496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇本 敏幸 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70363900)
淡川 孝義 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80609834)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生合成 / 二次代謝酵素 / 機能制御 / 物質生産 / 酵素工学 |
Research Abstract |
天然有機化合物の生合成に関わる二次代謝酵素の中には、極めて寛容な基質特異性と潜在的触媒能力を有するものがあり、人為的な機能制御と分子多様性創出の格好のモデルとなりうる。本研究では、植物フェニルプロパノイドの生合成において鍵酵素となるポリケタイド合成酵素などをとりあげた。有機化学を基盤として、分子生物学や構造生物学、タンパク工学の技術などを駆使することにより、酵素触媒機能の制御と高機能性スーパー生体触媒の創製をめざす。X線結晶構造解析により、酵素反応の立体構造基盤を明らかにするとともに、結晶構造に基づく酵素触媒機能の拡張と最適化をめざす。一方、動的構造変化の解明により、酵素反応の化学を合理的に制御する。また、人工基質を作用させることで、さらなる物質生産と酵素触媒機能の拡張を実現する。 昨年度新たに、キノリノンやアクリドン・アルカロイドの骨格を構築する新規酵素、また長鎖アルキルゾルシノールの骨格を構築する新規酵素の結晶構造の取得に成功した。また、これら酵素について、構造機能解析を進めている。また、今回新たに、ポリケタイド還元酵素、プレニル転位酵素などとのコンビナトリアル生合成に関する研究に着手した。ポリケタイド合成酵素に還元酵素をカップリングさせることができれば、また、プレニル転位酵素とのカップリングにより、天然有機化合物のさらなる分子多様性創出と物質生産の能力の飛躍的な増大が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の目的をほぼ達成することができている。新規ポリケタイド合成酵素やプレニル転位酵素の結晶化、精密機能解析などにおいて、新たな展開が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き、ポリケタイド合成酵素については、結晶構造解析に基づく酵素触媒機構の解明と閉環反応の化学の制御をめざす。昨年度新たに、キノリノンやアクリドン・アルカロイドの骨格を構築する新規酵素、また長鎖アルキルレゾルシノールの骨格を構築する新規酵素の結晶構造取得に成功した。これら酵素について、さらに精密機能解析を進める。野生型及び変異酵素のX線結晶構造解析により、酵素反応中間体の静的配置、及び、酵素反応の進行に伴う動的変化を解明し、閉環反応の化学を制御する。結晶構造に基づき、さらなる酵素媒機能の拡張と酵素触媒機能の最適化をはかる。酵素反応の立体構造基盤の解明、および、結晶構造に基づく合理的な酵素触媒機能の制御と最適化により、非天然型新規酵素活性に特化した生体触媒の創製に着手する。 昨年度に引き続き、ポリケタイド還元酵素、プレニル転位酵素などとのコンビナトリアル生合成に着手する。ポリケタイド合成酵素に還元酵素をカップリングさせることができれば、また、プレニル転位酵素とのカップリングにより、分子多様性創出と物質生産の能力は飛躍的に増大する。このヒントになるのが、マメ科など一部の植物において、カルコン合成酵素との相互作用によりデオキシカルコンを生成する還元酵素である。一方、アンスロン配糖体を豊富に産生するキダチアロエAloe arborescensより単離したオクタケタイド合成酵素(OKS)はin vitroで8分子のマロニルCoAを縮合するIII型PKSである。本来OKSは、ポリケタイド還元酵素などとの相互作用により、アンスロンの生合成に関与するものの、単独では酵素反応が進行せず、shunt productsを与えた可能性も否定できい。そこでOKSと相互作用する酵素タンパクを探索し、高等植物におけるアンスロンやアンスラキノン生合成機構の解明をめざす。
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Research Products
(16 results)