2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23242005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2016-03-31
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Keywords | 儀礼 / 王権 / 表象 / 空間論 |
Research Abstract |
本研究では研究期間全体を(1)儀礼情報の収集と公開、(2)儀礼に関する理論的枠組みの構築、(3)儀礼の伝承と変容の解明、(4)仏教と異宗教との交渉に関する研究、(5)研究全体のとりまとめと公開という5つのステージにわけ、それぞれを複数年度にわたって段階的に進める。平成24年度は前年度に引き続き、第1ステージ「儀礼情報の収集と公開」と第2ステージ「儀礼に関する理論的枠組みの構築」を重点的に行い、さらに第3ステージ「儀礼の伝承と変容の解明」に着手した。 代表者及び連携研究者による全体集会を5月、11月、3月の3回開催した。このうち、5月の研究集会では今年度の研究方針と具体的な研究計画を討議した。11月の研究集会においては、矢野道雄(京都産業大学)による「宿曜経と宿曜道」と、鈴木正崇(慶應義塾大学)による「中世の戸隠と修験道の展開:『顯光寺流記』を読み解く」という2件の研究発表を行った。さらに3月の研究集会においては、アーニャ・アンドレーバ(ハイデルベルク大学、国際日本文化研究センター)による「三輪山における仏僧と聖の活動:三輪流の儀礼成立を中心として」と、鷹巣 純(愛知教育大学)による「淵之坊本善光寺如来絵伝について:牛頭天王との関わり」という2件の研究発表を行った。いずれにおいても、インドから日本に儀礼が伝播する課程でのさまざまな文化現象を取り上げ、汎アジア的な視点からの儀礼に関する一般的な理論の構築を進めた。 「儀礼情報の収集と公開」に関しては、鶴見大学図書館に所蔵される戦前の満洲におけるチベット仏教資料の調査と公開を進め、その一部に関する報告書の作成と、データベース公開のための基礎作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、順調に進展している。連携研究者に加え、儀礼研究を行っているインド学者や日本史研究者、宗教学者などの参加を得て、より学際的な視点からの研究を進めている。儀礼に関する基礎的なデータベースの作成も進展している。とくに、鶴見大学に所蔵されている戦前のチベット仏教に関する資料に関して、調査とデータ採取の機会が与えられ、その成果の一部を刊行することができた。 研究代表者はもちろん、連携研究者による調査や研究成果の発表も活発に行われ、高い生産性を維持している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、次年度以降も研究計画を進めていく。とくに、(4)仏教と異宗教との交渉に関する研究、(5)研究全体のとりまとめと公開、という残りの二つのステージを視野に入れて、より広範な分野からの儀礼研究を進める。最終的には、人文学における儀礼研究の領域を確立するための理論化、体系化を進める。 すでに平成24年度から制作を進めているチベット仏教のデータベースをモデルに、さまざまな宗教の儀礼に関するデータを扱った統合的な情報プラットフォームを構築する。
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