2013 Fiscal Year Annual Research Report
パルテノン神殿の造営目的に関する美術史的研究―オリエント美術の受容と再創造の検証
Project/Area Number |
23242011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長田 年弘 筑波大学, 芸術系, 教授 (10294472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 千惠子 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (80279801)
田中 咲子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00641101)
中村 るい 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (50535276)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 美術史 / 西洋史 / 西洋古典 / 考古学 / 国際研究者交流 / ギリシア / 神話 / 古代宗教 |
Research Abstract |
(1) 2013年9月29日に研究例会「ex oriente lux(光は東方より)―古代ギリシアローマ美術を見つめ直す」(筑波大学芸術系)を開催した。趣旨説明、長田年弘(筑波大学)、講演、宮下佐江子(古代オリエント博物館研究員)。講演、田辺勝美(元中央大学教授)。(2) 2013年10月29日から11月5日にかけて、イラン調査旅行を行った。参加者は、長田年弘(研究代表・筑波大学)、篠塚千恵子(研究分担者・武蔵野美術大学)、金子亨(研究協力者・東京学芸大学)、下野雅史(研究協力者・東京学芸大学大学院生)の計4名。ペルセポリス遺跡、イラン国立考古学博物館(テヘラン)等において共同調査と撮影を行った。(3)研究成果について、2013年10月より、大英博物における教育展示Parthenon Nowにおいて、常設展示を行い、2014年4月に終了した。(4) 2013年7月4-6日に、中村るい(研究分担者・東京芸術大学)によって、ベルリンにおける国際研究集会「The Reception of Greek and Roman Culture in East Asia: Texts & Artefacts, Institutions & Practices」において成果発表を行った。(5) 2014年1月2-5日に、中村るい(研究分担者・東京芸術大学)によって、AIA and APA Joint Annual Meeting(シカゴ)において成果発表を行った。(6) 2014年2月27日-3月1日に、長田年弘(研究代表・筑波大学)と田中咲子(研究分担者・新潟大学)によって Oesterreichischer Archaeologentag(インスブルック、オーストリア)においてそれぞれ成果発表を行った。(7) その他、学術雑誌において研究成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パルテノン彫刻に関して、オリエントの視点から、閉塞的な研究状況に対して新しい問題提起を行った。美術史学と歴史学の異なる領域において、問題意識を共有した。オリエント美術史研究者を新しく構成員に迎え、パルテノン神殿を再考察することによって、パラダイムを組み換え研究領域の拡張を試みることができたと考える。また、併せて海外美術館、研究者との交流を堅持した。 (1)イラン国立考古博物館とペルセポリス遺跡、パサルガダエ遺跡における調査撮影を実施した。(2)大英博物館において、昨年度に引き続き研究成果を常設展示した。(3)ドイツ、オーストリア、合衆国、などの学会において研究成果を発表した。(4)ケンブリッジ大学美術館における研究成果展示のための打ち合わせを行った。(5)ウェブ上のホームページにおいて、研究成果を発信することで社会還元を行った。 とりわけ、パルテノン・フリーズの東面神々の立体モデル復元は、美術史学と歴史学、美術解剖学、彫塑制作の専門家が携わり、CGデザインの助言も受け、総合的研究として初めての試みとなっている。行列と神々の複雑に入り組んだ位置関係を解明することで、「神々の顕現」の祭礼を表すと思われる人物像の配置を再現し、東方の朝貢図との類似を視覚的に明示する意味も有する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究成果について、2014年度に英語による論文集を刊行する予定である。長田年弘(研究代表)、篠塚千恵子(研究分担者)、田中咲子(研究分担者)、中村友代(研究協力者)、中村るい(研究分担者)、水田徹(研究協力者)、師尾晶子(研究協力者)の7名による論文の編集作業を進めている。 (2)立体制作は、本研究課題においても大きな研究成果を挙げており、一層の充実を図りモデル制作と作品の品質向上を実現する。ケンブリッジ大学美術館における研究成果展示について打ち合わせを進めている。 (3)併せて、大英博物館との協力関係の保持は、本研究計画の重要な課題の一つであり、教育展示後も、研究者交流等によって情報交換を進める。また、ギリシア、新アクロポリス美術館との、研究者交流の堅持も図る。 (4)2014年5月に、ブダペスト大学において開催される国際シンポジウム「New approaches to the temple of Zeus at Olympia. An international symposium at Budapest, 8-10 May 2014」において、研究代表による発表「Invisible God」を予定している。国内外の学会等において成果発表を行い、また社会還元を図る。
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Research Products
(34 results)