2014 Fiscal Year Annual Research Report
羌系諸語の歴史と西夏語の位置づけに関する実証的研究
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23242019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 巧 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (90259250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安岡 孝一 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (20230211)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 羌系諸語 / 西夏語 / チベット・ビルマ語 / 歴史言語学 / 記述言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、チベットビルマ諸語のなかでも史的研究に重要な位置を占める羌系諸語と彝系の言語に対象を絞り、現地調査と文献解読の研究成果を統合してその歴史的発展にかんする実証研究を行ない、同時にその基盤となる資料庫を構築する。研究作業は[1]羌語諸方言の記述調査研究[2]ムニャ語と西夏語の対応研究[3]西番譯語に記録された羌系諸語の復元[4]西夏語文献資料庫の仕様策定[5]藏緬語族語彙資料庫の構築[6]彝文字文献資料庫の仕様策定、の6項目から構成され、相互に関連しながらチベットビル マ語の類型構造の史的発展の諸相と方向性を明らかにしていく。平成26年度は[1]中国の連携研究者の黄成龍/周發成両氏に依頼した未記述の羌語黒水方言の現地調査を継続[2]ムニャ語および影響関係の強いチベット語カム方言の調査資料の収集と文法の解析をすすめ、ムニャ語と西夏語の使役構造の比較研究を継続[3]歴史資料である漢語との対訳語彙集の《嘉絨譯語》および《呂蘇譯語》に記録された語彙について、現地調査および記録内容の分析を継続[4]西夏語文献の解読および関連資料の収集[5]《藏緬語族語言詞彙》所収の民族語彙のデータ化を完了[6]彝文字の異体字資料の収集およびデータ化の基礎作業を行なった。以上は昨年度までの研究作業の継続であるが、加えてチベットビルマ語の名詞句の構造に関する研究集会およびチベットビルマ語と古漢語の研究交流会を開催したほか、国際学会で未記述のチベット語雲南方言およびリュズ語の基本構造について調査報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の連携研究者の協力により、文献の解読および未記述言語の現地調査、収集資料のデータ化のいずれにおいても当初の計画に従って研究作業を継続している。加えて研究作業から導かれた成果報告もいくつか行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
羌系諸語の分布地域である東チベット:四川省ガンヅェ蔵族自治州およびアパ藏族羌族自治州は、この数年政情が不安定となり外国人の滞在調査には制限が加えられている。この状況がいつ安定化するかは不透明である。よって中国の連携研究者にいっそうの協力を仰いで現地調査と研究資料の収集を行なってもらう必要がある。この状況は昨年度も変わっていない。対策としては、これまでと同様、都市部在住の現地協力者、あるいは発話協力者を都市部に招聘するなどの工夫をして研究資料の収集を行なっていく。カリフォルニア 大学の STEDT プロジェクトとの連携のもと、Randy LaPolla 教授、James A. Matisoff 教授、長野泰彦教授にこれまでに蓄積した言語調査資料の提供と補充資料の収集を引き続き依頼し、言語データの拡充を具体化させたい。データベースの仕様に沿って未記述のチベット語雲南方言、ブータンの諸言語、比較対照する古漢語のデータなどを調査しつつ、作業環境の整備を行なう予定である。
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Research Products
(2 results)