2011 Fiscal Year Annual Research Report
状況に基づく日本語話しことばの研究と、日本語教育のための基礎資料の作成
Project/Area Number |
23242023
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
定延 利之 神戸大学, 大学院・国際文化学研究科, 教授 (50235305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAMPBELL Nick 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (50395109)
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Keywords | 日本語 / 話しことば / 日本語教育 / 音声 / 調音動態 / コミュニケーション / 状況 / 文法 |
Research Abstract |
本年度は、データ収集と分析・考察の中で、日本語会話の記述に真に有効な「状況」概念の抽出に努めるとともに、話しことば研究の成果発表の理想的形態としての電子出版の可能性を検討した。 データ収集:平成23年度は、連携研究者(朱春躍氏、林良子氏)の協力を仰ぎ、また、定延が主任を務める神戸大学メディア文化研究センター多元的コミュニケーション研究部門と連携することによって、調音・会話データを収録した。アーカイブ構築は分担者のニック・キャンベル氏と共同で検討した。 分析・考察:収集されたデータの観察を通して、日本語の話しことばの文法を、「状況」という観点から考察した。この作業は研究代表者・分担者・連携研究者全員があたった。このために今年度は、以下5つの活動をおこなった。 (1)言語類型論者(Andrej Malchukov氏)の協力を仰ぎ、シンポジウムを開催した(日本語学会春季大会シンポジウム「日本語のテンス・アスペクト・ムード研究と通言語的研究」,5月28日,於神戸大学、定延は企画担当・司会)。 (2)日中対照言語学者(中川正之氏・井上優氏)の協力を仰ぎ、昨年度に引き続いてミニシンポジウムを開催した(第28回中日理論言語学研究会、12月18日、於関西学院大学、定延は企画担当・司会・発表者)。 (3)日本語音声コミュニケーション研究会と、定延が代表幹事を務める日本語音声コミュニケーション教育研究会を通じて、日本語教育研究者(松田真希子氏他)の協力を仰ぎ、2つの研究集会を開催した(「教室での気づきから論文投稿まで」10月7日、於米子コンベンションセンター)、「第1回外国語発音習得研究会」(2月21日、於金沢大学地域連携推進センター))。 (4)連携研究者(杉藤美代子氏)の音声文法研究会を通じて音声科学者の協力を仰いだ。 (5)連携研究者(友定賢治氏)の方言プロジェクトを通じて方言研究者・会話分析者の協力を仰いだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」欄に記したように、これまでの事業経験(科研基盤(A)H16-18,19-22)を踏襲しながらも、日本語話しことばに見られる主な『状況』を抽出し、それぞれの『状況』ごとに「どのような『立場』の者が、どのような『立場』の者に対して、どのような発話の権利を持つのか」を明らかにし、それを活かした資料を作成するということについて、初年度分は達成できた。それに基づいて、「研究実施計画」に記した成果を大きく上回る成果を発表できたため(論文16件増、学会発表26件増、編著1件増)、(1)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MRI撮像研究に関しては北村達也氏(甲南大学)の協力を適宜仰ぐこととする。(北村氏の内諾済み。)自然会話研究に関しては定延の所属する神戸大学大学院国際文化学研究科とJAXAとの提携を最大限利用し、多様な環境下のコミュニケーションに関する資料を拡充する。 また、定延が代表幹事をつとめる日本語音声コミュニケーション教育研究会との連携を利用し、電子媒体での成果発表について検討を進める。 なお、本課題の連携研究者であられた杉藤美代子氏のご逝去に伴い、研究打ち合わせの場を音声言語研究書から別会場に移し、さらなる活性化を図る。
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Research Products
(48 results)