2012 Fiscal Year Annual Research Report
状況に基づく日本語話しことばの研究と、日本語教育のための基礎資料の作成
Project/Area Number |
23242023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
定延 利之 神戸大学, その他の研究科, 教授 (50235305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAMPBELL Nick 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (50395109)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語 / 話しことば / 日本語教育 / 音声 / 調音動態 / コミュニケーション / 状況 / 文法 |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度に引き続き、自然会話データ・MRIによる調音動態撮像データの分析につとめ、状況に応じた日本語音声コミュニケーション行動の実像を明らかにするとともに、分析結果を学会で論文・講演・発表の形で公表し、会話・コミュニケーション研究、日中対照研究の中に位置づけ(論文「身体化された文法・言語の姿を探る」「「体験」型デキゴトをめぐる研究の経緯と新展開」他)、類型論者との協働を進めた。 また、音声コミュニケーションの研究・教育に有用な音声動画データ(自然会話データと調音動態撮像データ)のインターネット上での公開を進めると共に、本文の中に音声や動画データをはめ込み可能な電子雑誌『日本語音声コミュニケーション』の創刊号において2編の論文、1篇の研究ノートを掲載し、国内外の音声コミュニケーション研究・教育のネットワーク作りを推進した。 研究成果は、上記の専門学会やホームページでの発表の他、広く一般の国民にも広報した(大阪府立茨木高等学校(2012年10月20日)、京都府立南陽高校(2012年11月8日)、大阪YWCA日本語教師会主催セミナー(2013年1月26日)、神戸大学附属学校(2013年3月11日))。 作成した基礎資料の一部(「発声と声帯振動ーファイバースコープを用いた観察ー」(林良子・坂井康子・金田純平)が、日本音声学会の学術研究奨励賞を受賞することになったことを付記しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において、「データ収集」の目標とした民間話芸会話データベースは収集話数が100話を越え、日本語字幕を添えてネットワーク上に公開し、検索可能にしており、海外からも閲覧されている。海外からの要請に基づき、一部のデータは英語・中国語・フランス語字幕も作成している状況である。 「分析」の成果目標とした、論文数十編、講演・発表数十件は既に達成され、状況の分類(最低30種類)もその中でほぼ観察が終わっている。残るは著書1冊を残すのみで、それも現在、執筆中である。 さらに、「資料の作成・公開、フィードバック」の目標とした調音資料・会話資料も順調に進んでおり、その一部(「発声と声帯振動ーファイバースコープを用いた観察ー」(連携研究者の林良子氏・坂井康子氏と研究協力者の金田純平氏によるもの)が、日本音声学会の学術研究奨励賞を受賞した。論文の本文中に音声データ、動画データをはめ込み可能という、これまでの紙媒体での雑誌や著書に代わる、音声コミュニケーション研究にとって理想的な形態での電子雑誌論文集を成立させ、そこに論文を掲載するということも達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
「データ収集」の目標とした民間話芸会話データベースは、収集話数を一層増やし、日本語字幕と英語・中国語・フランス語字幕についてもさらに海外での発表を通じた広報につとめる。また、日本語字幕と他言語字幕の対照に基づき、発話行為(コミュニケーション行動)の言語間のずれについてのワークショップを挙行する。 「分析」の成果目標として、国内外の学会での発表や講演はもとより、状況に応じた音声コミュニケーション行動について、音声科学~文法研究~コミュニケーション論にまたがる学際的な著書を出版し、これまでの研究成果を関連分野全てに問いたい。 「資料の作成・公開、フィードバック」については、引き続き資料の作成と公開につとめるとともに、論文の本文中に音声データ、動画データをはめ込み可能な電子雑誌論文集を持続的に成立させて、日本語音声コミュニケーションの教育と研究を軸にした世界的な音声コミュニケーション研究のネットワーク構築につとめるとともに、そこに本科研の成果論文を引き続き掲載させていきたい。
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Research Products
(34 results)