2013 Fiscal Year Annual Research Report
方言分布変化の詳細解明―変動実態の把握と理論の検証・構築―
Project/Area Number |
23242024
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
大西 拓一郎 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 時空間変異研究系, 教授 (30213797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 有多子 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 助手 (70121374)
大橋 純一 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20337273)
加藤 和夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60137015)
木川 行央 神田外語大学, その他の研究科, 教授 (50327186)
岸江 信介 徳島大学, その他の研究科, 教授 (90271460)
小西 いずみ 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60315736)
沢木 幹栄 信州大学, 人文学部, 教授 (20110116)
都染 直也 甲南大学, 文学部, 教授 (30179999)
中井 精一 富山大学, 人文学部, 教授 (90303198)
半沢 康 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10254822)
日高 水穂 関西大学, 文学部, 教授 (80292358)
福嶋 秩子 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (80189935)
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30379218)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 言語地理学 / 言語変化 / 分布変化 / 方言分布 / 経年比較 / 地理情報システム |
Research Abstract |
方言分布の実時間における経年変化を把握し,そこに現れた分布の変動を説明する理論の検証と構築を行うことを目的とする研究である。この目的を達成するため,(1)富山県庄川流域,(2)長野県伊那諏訪地方,(3)奈良三重県境伊賀地方,(4)静岡県大井川流域,(5)福井県若狭地方,(6)瀬戸内小豆島,以上の6地域を中心に,過去の分布状態を把握するとともに,言語変化ならびにそれにともなう分布変化を予測し,それに基づく調査項目と調査対象(地域と話者条件)を設定し,臨地調査を継続した。 具体的な進捗状況は以下のとおりである。(1)富山県庄川流域においては約110項目・200地点において調査を終了した。(2)長野県伊那諏訪地方においては約170項目・190地点まで,(3)奈良三重県境伊賀地方においては約110項目・150地点まで,(4)静岡県大井川流域においては約110項目・50地点まで,(5)福井県若狭地方においては約60地点まで,(6)瀬戸内小豆島においては約160項目・80地点まで,調査を進めた。なお,以上のほか,秋田県・福島県・新潟県・琉球徳之島においても対象地域の検討を行い,比較的小規模の調査を継続した。また,経年比較の基盤となる過去の分布データとして,これまで電算化されてこなかった1970年代に行われた『方言文法全国地図』準備調査結果のカードスキャンを行い,それをもとに分布情報の電算化を継続した。 これらの調査結果を過去の分布と比較することを通して,方言分布の変動をもたらす方言形成の仮説を構築し,検証を継続した。検証結果を国内外の学会・研究集会(日本語学会,中日理論言語学国際フォーラム,台日言語地理学学術交流ワークショップなど)で発表するとともに,機関誌に投稿し(日本語学会,国際方言学方法論学会,dialectologia),過去の学説ならびに再構築した仮説をめぐる議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
方言分布の実時間経年変化の把握という研究ステップの実現に向けて,当初計画に従い,調査対象地域・対象項目・対象話者条件を設定し,(1)富山県庄川流域,(2)長野県伊那諏訪地方,(3)奈良三重県境伊賀地方,(4)静岡県大井川流域,(5)福井県若狭地方,(6)瀬戸内小豆島の主要6地域での調査を実施し,うち調査が終了した(1)富山県庄川流域と,完了間近の(2)長野県伊那諏訪地方のデータベース化を進めた。また,過去の分布調査の電算データ化も継続した。とりわけ長野県伊那諏訪については,紙媒体の言語地図からのデータベース化を約80パーセントまで進行させた。 研究課題が目的とする方言分布の変動を説明する理論の検証と再構築のために,具体的なデータに基づく仮説と検証結果を国内外の学会・研究集会(日本語学会,中日理論言語学国際フォーラム,台日言語地理学学術交流ワークショップなど)で発表,また機関誌に投稿・掲載(日本語学会,国際方言学方法論学会,dialectologia)されることで議論を進行させた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の目的に沿って当初の計画に従い,研究を推進する。すなわち,方言分布の実時間での経年変化を把握するため初年度に実施した作業(a.過去に明らかにされてきた方言分布の把握と調査対象地域の確定,b.言語変化の予測と項目確定,c.調査対象の決定)をもとに,(1)富山県庄川流域,(2)長野県伊那諏訪地方,(3)奈良三重県境伊賀地方,(4)静岡県大井川流域,(5)福井県若狭地方,(6)瀬戸内小豆島の主要6地域ならびにその他の数地域で言語地理学知見に基づく臨地調査を継続し,完成させる。また,比較対象となる先行研究ならびに本研究課題で実施する調査結果のデータベース化を継続し,完成させる。次に上記データベースを利用し分析を継続する。2012年度までに調査が完了している富山県庄川流域,2013年度までにほぼ調査が完了している長野県伊那諏訪地方については,優先的に地図化と分析を重点的に進める。また,分析,GIS (地理情報システム)に関する技能向上,ならびに最終成果物の公開に向けて,年間数回の研究会を開催し,情報交換・意見交換・議論を行うとともにメーリングリストを活用した情報の積極的な交流を継続する。得られた成果・知見をもとに国内外の学会・ジャーナル類での発表を継続しつつ最終的な成果の具体化を進める。また,言語地理学が盛んになってきた東アジア地区との研究交流も実施する。
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Research Products
(30 results)