2011 Fiscal Year Annual Research Report
コンテンツの創作・流通・利用主体の利害と著作権法の役割
Project/Area Number |
23243017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中山 信弘 明治大学, 研究・知財戦略機構, 特任教授 (40009816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 辰雄 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (70236602)
藤本 由香里 明治大学, 国際日本学部, 教授 (50515939)
白田 秀彰 法政大学, 社会学部, 准教授 (50318599)
今村 哲也 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 准教授 (70398931)
金子 敏哉 明治大学, 法学部, 講師 (20548250)
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Keywords | 著作権 / コンテンツ / 権利制限 / 計量経済学 / 電子出版 / 動画投稿サイト / 同人 / 二次創作 |
Research Abstract |
研究計画に従い、創作・流通・利用に関する様々な主体の活動実態について把握、分析する作業を中心に行った。また法制度の点では、権利制限の一般条項、出版社の権利等を巡る議論等を中心に検討した。今年度の特筆すべき研究成果としては以下のものがある。 (1)研究会の開催 計画に従い、今年度は計10回の研究会を開催した。研究会では、動画投稿サイト、ファンサブ(海外のファンが無断で日本のアニメ等に翻訳字幕を付してネットにアップするもの)、同人誌即売会・販売店の関係者、出版社の法務担当者などを招聘し、各活動の実態と利害、著作権法の役割について意見交換を行った。また出版社の権利や、後述のアンケートの調査結果についてメンバーの間で議論も行った。 (2)著作権に関する意識調査の実施 日本・米国・中国のクリエイター、パブリッシャー、ユーザーを対象に、著作権に関する意識調査(著作権保護の必要性など)を実施した。これらについて相互の対比を行う調査・分析は従前にはなく、現在暫定的な分析の段階でも興味深い相違点を示している。またファイル交換ソフトや動画投稿サイトの利用による損害(ユーザーにとっての利益)の評価という点でも大きな意義を有する。(詳細な分析結果は2012年中に公表予定)。 (3)その他(海外でのセミナーの開催等) ロンドン大学クインメアリ校との共催により、日本の権利制限巡る議論状況についてのセミナーをロンドンで開催し(金子、連携研究者の小島・上野が報告)、同人や権利制限の一般条項等のテーマにつき英国の研究者と意見交換を行った。また、アメリカ・中国・ベトナムにおける現地調査を行い(藤本)、電子海賊版の現状、正規版出版物の提供が海賊版の減少をもたらした例等につき調査をした。さらに、白田を中心として、同人と二次創作を巡るサブ研究会を5回開催している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画をしていた実証研究として、クリエイター・パブリッシャー・ユーザーの著作権意識に関するアンケート調査を日本・米国・中国を対象に実施し、有益なデータの収集に成功した。研究会・海外でのセミナーの開催についても計画に沿って実施をし、各主体の活動の実態の把握と著作権法の役割についての検討を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、各参加者がその役割分担・協力内容に応じ研究を進める。また今後も、月1回の頻度で研究会を開催するが、従来の実態の把握と著作権に関する議論に加え、初年度のアンケート調査結果に対する意見交換も行う。 平成24年度の実証研究に関しては、特に、著作者の人格的利益に関する創作者・出版社等の意識調査を中心にアンケート調査を実施する予定である。 また、平成24年度後半以降、アンケート調査の結果等を明治大学知的財産法政策研究所のホームページ等で随時公表をする。
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Research Products
(14 results)