2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23243022
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 裕 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90254375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 裕 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10226136)
藤村 直史 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20551493)
建林 正彦 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30288790)
仙石 学 西南学院大学, 法学部, 教授 (30289508)
高橋 百合子 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (30432553)
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究グループ長 (40466066)
曽我 謙悟 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60261947)
河村 和徳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60306868)
遠藤 貢 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70251311)
浅羽 祐樹 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (70403912)
福島 淑彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
稲継 裕昭 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90289108)
松本 俊太 名城大学, 法学部, 准教授 (90424944)
玉井 亮子 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (10621740)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 選挙ガバナンス / 行政学 / 地域研究 / 選挙管理 / 選挙制度 |
Research Abstract |
本研究は、選挙ガバナンスの形態が、選挙実施の適正性や公平性、投票率など選挙の「質」に与える影響と、各国で選挙ガバナンスに違いが生じる要因を調査・分析することにより、選挙ガバナンスが民主政治に与える影響を、比較政治学的に解明しようとするものである。本研究は、国際比較と日本国内の自治体間比較を通じて、選挙管理という研究上の大きな空白を埋める。 平成24年度は、ガバナンスの形態が選挙の質に与える影響についての国際比較と、制度の運用に関する国内比較調査をおこなった。 国際比較の中心になるのは、地域単位の域内比較である。アジア(浅羽、川中)、アフリカ(遠藤)、ラテンアメリカ(高橋)、東欧(仙石)、アメリカ(松本)、西欧・北欧・大洋州(稲継、福島、玉井)の各地域で比較研究をおこなった。各地域には先進国・途上国の違いなどそれぞれの文脈があり、一挙に総合的な比較研究をおこなうのは危険である。各地域の比較研究成果を研究会での報告を通じて共有化した後に、地域間比較をおこない、ガバナンス形態の何が選挙の質に影響を与えるのかを検討した。あわせて、世界各国における選挙法に関するデータベースを構築した。 国内比較調査(品田、曽我、河村、稲継、建林)は、制度の運用に関する地方自治体の選挙管理委員会に対するアンケート調査を設計、実施した。前年度におこなったパイロット調査に基づいて調査設計をおこない、すべての広域自治体・基礎自治体を調査した。制度の運用には、現時点では事務局の所属部署、当該地域における政党間関係、自治体の財政状況、過去の紛争の有無などが影響していると考えられる。同一の制度でも運用に違いが発生する理由は何か、その違いは選挙の質にどのように影響するのかに注意して実施し、79%の回収率を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国際比較、自治体間比較の2班に分けておこなっているが、両班とも研究計画に従って調査が進んでいる。国際比較は地域単位の比較研究の基礎を終え、焦点を絞った調査・分析と、データベースを活用した分析を行える状態になった。自治体間比較は、平成23年度に行ったパイロット調査に基づき全国アンケート調査の企画、設計を行い、調査を実施した。79%という高い回収率は調査設計の妥当性を示すものでもある。以上の点を勘案すれば、本研究は概ね順調に進展しているということができよう。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較については、引き続きガバナンスの形態が選挙の質に与える影響について調査・分析を継続し、あわせて何がガバナンスの形態を形成するのか、いわば生成(genesis)に関する調査をおこなう。国内の自治体間比較については、前年度に作成した全国市区町村選挙管理委員会に対するアンケート調査結果を分析し、選挙管理制度の運用に何が影響しているのかを明らかにする。 国際比較では、前年度の質的調査で抽出されたパフォーマンスに影響を与える要因を、前年度作成した選挙法のデータベースを用いて、計量分析によって一般的な知見に発展させる。その際の説明対象は、選挙不正の程度、選挙への市民の信頼、民主制の安定性などである。被説明変数の実際の測定にあたっては地域や選挙法などの法制度が大きく影響するので、この点を加味した上で計量分析をおこなう。並行して、ガバナンスの形態生成の調査を幾つかの重要な国について調査し、ガバナンス生成に関する決定要因を解明する。中米、カナダ、アメリカ、北欧、フランス、韓国、東欧、アフリカ諸国を予定している。 自治体間比較については、選挙管理委員会および事務局の構成と、選挙管理ミス、常時啓発活動の活発さなどの選挙管理上のパフォーマンスとの間にいかなる関係があるのかを、アンケート調査を計量分析することで明らかにしていく。また、そこで得られた知見に関する補足調査をおこなう。 それぞれの研究は研究分担者が単独でおこない、年3回の研究会を通じて知見を共有し、研究を推し進める。また、選挙学会、比較政治学会で研究成果の一部を公表し、知見の普及を図る。なお、調査の過程で、とりわけ海外から本研究に対し強い関心が示され、英語での成果公表が要請されているので、良好な成果を得て国内外への発信に努める予定である。
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Research Products
(36 results)