2011 Fiscal Year Annual Research Report
幸福の経済学と政策評価:パラドックスの解明を目指して
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23243052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 義郎 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (50163845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
池田 新介 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70184421)
晝間 文彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00063793)
白石 小百合 横浜市立大学, 国際総合科学部, 教授 (70441417)
川口 大司 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80346139)
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Keywords | 幸福度日次調査 / 幸福のパラドックス / 天気と幸福度 / 高頻度のパネルデータ / 結婚幸福度調査 / 出産幸福度調査 / 順応仮説 |
Research Abstract |
本年度は、まず、毎日の幸福度のデータを利用して分析を行った。その結果、幸福度の変化を尋ねた質問の回答を足していって幸福度の水準を求めると一貫して幸福度が上昇するという結果が得られるが、幸福度の水準の質問の回答はほぼ一定であることがわかった。この結果は、「幸福のパラドックス」の解明に重要な含意を持っている。また、天気が幸福感に与える影響を、この日次調査の結果を用いて分析した。これまでの研究は、異なる地域に住む人の幸福感を比較したものが主流であったが、本研究は、1個人の幸福感に天気がどのような影響を与えるかを調べる点で、新しい。その結果、大阪においては、気温が幸福度に影響すること、14℃ぐらいで幸福感が最高になることがわかった。 研究分担者と連携研究者で会議を2回開き、どのようなアンケート調査を実施するかを議論した。これまでは、世界的にもせいぜい年度毎のパネルデータが標準であるので、より高頻度のパネルデータを収集することが、本科研の基本的な狙いである。種々検討した結果、結婚、及び出産によって幸福度がどのように変化するか、具体的には、どのようなスピードでどのレベルまで順応するかが、現在解明すべき重要なトピックスであり、興味深いとの結論に達した。それに基づいて、まず、1万5千人を対象に、結婚予定者、出産予定者を抽出するサンプル抽出調査を実施した。そこで選ばれた、男女200人ずつ(それぞれ50人のコントロールサンプルを含む)、計800人を対象に、幸福度とその要因を探る調査を毎月実施する。第1回目は、本年度の3月に実施した。また、各個人の属性や考え方を詳細に調べるアンケートを実施した。さらに、本助成金の調査期間は最大で4年間であるので、より長期の幸福度の変化を調べるために、結婚後、4年から12年経過している男女を対象とする調査も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで得られたデータを分析し、本科研の中心テーマである、幸福のパラドックスに関して深い関連のある論文を完成させることができた。また、天気と幸福度の論文も、これまでにない視点を持っている点でオリジナルである。さらに、本年は来年度以降の助成金で実施する調査の設計を計画していたが、それが、予定通り、終了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開始した、結婚予定者、出産予定者の月次アンケート調査を3年間実施する。それと並行して、公表されているデータを利用して、様々な研究論文を執筆する。
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Research Products
(9 results)