2011 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙プラズマにおける高空間分解能の科学を拓く超小型プラズマ波動観測器
Project/Area Number |
23244097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小嶋 浩嗣 京都大学, 生存圏研究所 (10215254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 英之 神戸大学, システム情報科学研究科, 教授 (10243081)
八木谷 聡 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (30251937)
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Keywords | 宇宙磁場環境 / プラズマ波動 / アナログASIC / CFRP / 波形細く受信器 / 宇宙磁場環境シミュレータ / 自己伸展電界アンテナ / 周波数掃引受信器 |
Research Abstract |
[超小型化プラズマ波動観測器]線形性を補償し、また、広い帯域まで40dBのゲインを確保できるアンプをASIC内部に実現することに成功した。これにより、従来からの波形捕捉型受信器において、0,20,40dBのゲイン設定が可能となった。また、アンチエリアシングフィルタとして必要となるスイッチトキャパシタフィルタについても再設計を行い、性能向上をはかった上で、波形捕捉型受信器用ASICチップを設計して製作した。また、スペクトル型の受信器では、初段の周波数変換に必要となる急峻な特性をもつBPFの開発を行い、特性確認によって所望の性能が実現できていることを確認した。このBPFにおいては、十分な特性を出すためにレイアウト設計が非常に重要であることもわかり、レイアウト設計そのものにも、十分な開発時間をかけた。 [小型センサーノード]CFRP3次元織りによる「自己伸展型電界アンテナ」の開発に成功した。このアンテナは非常に軽量で、また、自己復元力があることから、センサーノードの筐体に巻き付けた形で収納し、小型アクチュエータとの組み合わせで、外部からの通電により、アンテナを自己伸展させる仕組みを設計し実現した。CFRPによるセンサーは、約2m tip-to-tipであり、センサーとしての長さは十分で、また、十分なアラインメントをkeepした状態で伸展できていることを確認している。このような電界アンテナの実現は世界初のことであり、今後大きな利用価値が見込まれる。 [宇宙電磁環境シミュレータ]電界センサーから発生する光電子が形成する電流構造や、ラングミュア特性を評価できるシミュレーションコードの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請の段階で予定していた、波形捕捉受信器型チップの高度化(高いゲインと帯域の確保)や、スペクトル型受信器に必要となるBPFのチップ化に加え、自己伸展することのできるCFRP三次元織電界アンテナの試作と、その伸展の実証に成功しており、順調に研究は進んでいる。特に、CFRP三次元織電界アンテナについては、今年度まったくの新規開発の取り組みであったが、構造モデルを試作し、実際に小型アクチュエータを用いた伸展実験を行い、予定していた動作をきちんとするところまで確認できたことは、今後の研究の発展に非常に大きな一歩となったことは間違いない。計算機実験の成果も含め、すでに論文をsubmitしたもの、すぐにsubmitできるものがあり、学術雑誌への成果発表も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに研究遂行にあたって大きな問題点はない。今後、波形捕捉型受信器チップの完成と、スペクトル型受信器のチップ化の遂行に努力するが、一方で、平成26年度のロケット実験を申請しており、その実験では、多点でプラズマ波動を観測するための小型センサーノードをロケットから放出するため、ロケット本体との通信の仕組みを確立する必要がある。特にセンサーノードは小型であるため、小型の無線チップを応用したシステムの確立を急ぐ必要があり、平成24年度は、この通信部の開発に関しても注力していく。
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