2013 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙プラズマにおける高空間分解能の科学を拓く超小型プラズマ波動観測器
Project/Area Number |
23244097
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小嶋 浩嗣 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (10215254)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | プラズマ波動 / アナログASIC / プラズマ波動受信器 / スペクトル型 / 波形捕捉型 / チップ化 / 多点同時 / センサーノード |
Outline of Annual Research Achievements |
[超小型プラズマ波動観測器] アナログASIC内への実現に成功していた波形捕捉型受信器の更なる高度化を行った。特にどうしてもダイナミックレンジが狭くなってしまうASICにおいて、複数のゲイン設定を実現できる受信器とし、それを外部からの制御信号によってダイナミックに変更できる機構をつくりこんだ。これによりデジタル部との組合せで、自動ゲイン制御ができるようになった他、rail-to-railのオペアンプの設計により電源電圧ぎりぎりまで動作するチップ内アンプを実現した。スペクトル型の受信器では、周波数スペクトルに重要となるバンドパスフィルタや周波数変換に重要なPLLの安定化などを実現した。特に急峻な特性が必要となるバンドパスフィルタの特性を安定化させるために回路の一部変更を行ったため、非常に安定した特性をもつフィルタが実現できた。 [小型センサーノード] ロケット実験で宇宙空間に放出できる小型センサーノードとしての設計を行った。具体的には、基準信号の60kHzの電離層内伝搬をとらえることができるようにするための感度計算とS/N比検討をおこない、そのために必要となるデータの時間積分間隔などの決定を行い、小型センサープローブのシステム設計へと反映させた。また、プラズマ波動受信器として上記で開発した波形捕捉型チップを組込、電磁界6成分のセンサーと組み合わせた動作確認試験を行って電離層内での観測に問題がないことを確認した。通信ではセンサーノード内におさめることのできる小型無線器を選定し、その無線器とセンサーノード内で機能を制御しているCPUとの通信設計と試作を行い、オンボード処理ソフトウェアの開発とともに、その他リチウムイオン電池を用いた電源システム、および、センサーノードの機構設計を行い平成26年度に行う予定の実証実験への準備を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
波形捕捉型プラズマ波動受信器は、その外部からの制御、問題となっていたダイナミックレンジの改善など、多くの改良点に関して進展をみせている。そして、そのプラズマ波動受信器チップは、外部からの制御も含めよりフレキシビリティを増すことに成功しており、当初より、ミッションにそのまま利用できるようなチップの完成に向けて順調に進んでいるといえる。 小型センサープローブについても数cm角のボディ内にプラズマ波動受信器チップとその他周辺の必要コンポーネントを納めることに成功しており、多点同時にプラズマ波動観測を行うための開発が順調に進んでいるといける。特に平成25年度は、開発した小型の電磁界センサーと組合せ、各プリアンプから出力される信号に対し、プラズマ波動観測チップが十分に機能して観測データをえることができることを実証しており、これは、本基盤Aが始まる前にはなかった世界初のシステムができあがったという意味で画期的なことであった。 以上のようにプラズマ波動受信器のチップ開発についても、それを組み込んだ小型センサープローブのシステム開発についても順調に進んでいる。また、これを用いたロケット実験の準備も進めており、宇宙空間での実証に向けた技術開発も順調であり、計画全体として、概ね順良に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
超小型プラズマ波動受信器については、波形捕捉型については概ね実際のミッションに利用できるものができあがってきている。一方、スペクトル型については、PLLの安定性、特に温度に対する安定性が将来的に課題となってあがってくる可能性がある。現在、MOS FETがもつgmに依存した形の設計になっているからである。そこで、スペクトル型受信器としては、このPLLを使用しないやり方での実現の仕方も視野に入れておく必要があると考えている。PLLとミキサの組み合わせで周波数のダウンコンバージョンを行うのは、高速のADを常時動作させたくなかったり、観測データ量が増大しないようにしたいがためである。これらのことを従来型の周波数コンバージョン方式にこだわらずに実現するやり方も既に考案しており、動作にどうしても不安が残るPLLに依存しない形でスペクトル受信器をチップ化できると、そのメリットは非常に大きい。平成26年度には、新しいPLLに依存しない形でのスペクトル受信器についても考えてみることにする。 小型センサーノードについては、通信の部分がまだ未熟であるので、平成26年度には実際に観測データを小型無線器によってステーションへ伝送する部分まで小型筐体に入れて実現できることを示したい。実際に用いる通信アンテナのインストール方法やその指向性を含めた通信回線の評価についても抜けているところなので着目していきたいと思っている。平成26年度は最終年度になるため、できあがったプラズマ波動受信器チップとCPU、小型無線器を組み合わせて、実際に観測したデータをステーション側へ伝送する一連のシステムの動作検証ができるようにする予定である。
|
Research Products
(15 results)
-
-
-
[Journal Article] Significance of wave-particle interaction analyzer for direct measurements of nonlinear wave-particle interactions2013
Author(s)
.Katoh, Y., M. Kitahara, H. Kojima, Y. Omura, S. Kasahara, M. Hirahara, Y. Miyoshi, K. Seki, K. Asamura, T. Takashima, and T. Ono
-
Journal Title
Ann. Geophys.
Volume: 31
Pages: 503-512
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-