2012 Fiscal Year Annual Research Report
気液界面の分子動力学と分子気体力学の包括的統合による非線形非平衡流体力学の新展開
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23246034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢野 猛 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60200557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 一生 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10115777)
高田 滋 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60271011)
渡部 正夫 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30274484)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 気液界面 / 蒸発・凝縮 / 分子気体力学 / 分子動力学 / 非線形非平衡流体力学 |
Research Abstract |
非線形非平衡流体力学の基盤創成のために、分子動力学と分子気体力学を用いた理論解析と数値解析を行っている。本年度は、昨年度までの成果を発展させて、下記のような成果を得た: 1.凝縮相と接する蒸気の弱非線形非定常運動に対する一般的な定式化を、Boltzmann方程式の境界値問題の厳密な漸近解析をとおして実行し、気体の運動を支配する巨視的方程式系とこれの解を決定するための巨視的境界条件の系を導出し、それらの数学的構造を明らかにした。 2.上記の弱非線形問題と昨年度の成果である線形問題を統合的に議論し、気液界面において非定常な蒸発・凝縮が生じている非平衡気体の運動への理解を深めた。 3.気液界面近傍の非平衡分子動力学計算によって、界面近傍の分子運動の詳細を明らかにし、蒸発・凝縮を支配する法則の解明に向けたアプローチを前進させた。 4.気体中における強い非線形性と強い非平衡性をともなう音の伝播過程の分子動力学解析を行い、分子スケールの挙動と連続体スケールの現象論の橋渡しへ向けて、本質的な理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のとおり、本研究初年度に予定されていた、分子気体力学による非平衡現象の数理的理解の高度化と蓄積、および分子動力学による界面現象の統計物理学的理解の方法論の先鋭化のために有用な成果を得ることができた。とくに国際研究交流によって、非平衡統計力学とその工学への応用研究の概念設計を深化できたことは大きい。これらの成果は、最終年度の研究計画の進展と研究総括の基礎として十分なものである。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では計画遂行にとって大きな障害はない。複数機関の研究者による連携も順調である。今後も当初計画どおり、分子気体力学解析と分子動力学解析を実行し、気液界面の非線形非平衡流動現象の統一的理解を深め、これを応用に資する理論体系の形に定式化することを目指す。さらに、当初計画には含まれていなかったが、今後の実験的実証研究への道筋をつけることも可能となる見込みである。
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Research Products
(5 results)