2013 Fiscal Year Annual Research Report
人体近傍微弱電界通信によりユニバーサルインターフェイスを実現する研究開発
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23246073
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
門 勇一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (90500223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島崎 仁司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20226202)
上田 哲也 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (90293985)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人体近傍電界通信 / ユニバーサルインターフェイス / トランシーバー / ボディエリアネットワーク |
Research Abstract |
平成25年度は(1)人体近傍微弱電界通信基盤技術、(2)人体近傍微弱電界通用の送受信機、(3)ヒューマンエリアネットワークの構成技術、(4)トランシーバのバッテリーレス化(長期的課題)を中心に研究を推進した。(1)では、人体表面を介した通信回線の設計を可能とするため、人体表面を伝搬する交流信号の減衰特性を正確に測定する手法と人体等価ファントムを検討した。前年度、電気・光変換を用いて被測定対象に影響を与えないプローブシステムを開発した。今年は、このシステムを用いて人体の様々な位置にトランシーバを装着した時の、信号減衰特性を定量的に明らかにした。その結果、人体の表面形状が信号の減衰に大きく影響することが明らかになり、従来の直方体型ファントムから人体形状を反映したファントムに作成に着手した。(2)では、本技術の普及を図るため、鉄道・地下鉄の改札ゲートで普及しているNFCカードとのインターフェイス機能をもつトランシーバをメーカーと試作した。これにより、NFCカードを試作したトランシーバに挿入すると、物理層が電界通信となり、ハンズフリーの改札ゲートやセキュリティーゲートを実現できる見通しを得た。(3)では様々な環境に実装するネットワーク技術とするため、装着型トランシーバと環境埋め込み型トランシーバとの通信回線に混入する雑音源を等価回路でモデル化し、人体を介して混入する雑音と電源を介して混入する雑音を抑制する方策の指針を明らかにした。(4)では、前年度に引き続き、無線電力伝送用のビーム方向可変アンテナを実現するため、右手系/左手系複合伝送線路を擬似進行波型共振器アンテナに応用する基本検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の推進方策で記載した①EO-OE変換を用いた信号プローブの感度を向上させ、実人体上におけるMHz帯における人体近傍電界信号の減衰特性を明らかにした。また、通信品質を評価するための人体等価ファントムの検討を進めて、電気的に人体と等価であり、人体形状の自立型固形ファトムの組成を明らかにした。②通信システムの環境雑音耐性の向上指針については、実環境における雑音源を含む等価回路モデルを提案して、ノーマルモードとコモンモード雑音を抑制する指針を明らかにした。③In-Bodyトランシーバの電極構造を変えて、On-Bodyトランシーバ間との通信品質を評価し、通信可能な埋め込み深さを明らかにした。④均一材料で構成されている現在にファントムを多層化については、多層化に先んじて、人体形状を反映したファントムの検討が重要であると判断し、人体形状の自立型固形ファトムの検討を優先して、検討を進めた。⑤研究成果を広く世界に継続的にアピールするため、学界や国際会議だけでなく、国内最大の無線技術の展示会等(ワイヤレスジャパン2013,マイクロウエーブ展)にて、研究成果を展示し、講演をした。業界新聞記事記載(セキュリティ産業新聞6月10日号)、「大学展示優秀発表賞」を受賞した。以上、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎えるので、今後の推進方策として、以下を強化する。①本研究で開発した技術の実用化に向けて企業との共同研究を推進し、社会実装に向けて技術の完成度を高める。また、システムメーカーとも協力して、開発した技術を用いたハンズフリー型セキュリティーシステムへの応用を検討する。②引き続き、通信システムの環境雑音耐性の向上指針を明らかにするため、雑音源を含めた通信路の等価回路モデルの高精度化を図る。③人体形状の自立型固形ファントムを試作して、本開発技術の通信品質評価技術の標準化を進める。④研究成果を広く社会に還元するため、学会以外の大きな展示会等にも積極的に成果の展示を行い、社会実証実験等への提案を行っていく。
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Research Products
(9 results)