2013 Fiscal Year Annual Research Report
建設プロジェクトの発注・契約方式と品質確保のしくみに関する国際比較研究
Project/Area Number |
23246105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古阪 秀三 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60109030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國島 正彦 高知工科大学, 工学部, 教授 (00201468)
西野 佐弥香 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教 (00611336)
浦江 真人 東洋大学, 理工学部, 教授 (10203598)
高田 光雄 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30127097)
平野 吉信 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40355904)
安藤 正雄 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80110287)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 日本:中国:英国:米国 / 建設産業 / 国際比較 / 発注・契約制度 / 品質確保 / マネジメント / 建築プロジェクト |
Research Abstract |
25年度の研究より得られた知見は以下のとおり。 ①調査対象国における発注・契約方式の30年間の変遷を比較した結果、各国ともに、発注者、設計者、施工者の間のリスク分担関係の変化とそれに伴って発注・契約方式/制度が流動化している知見を得た。さらに、その流動化は海外企業を受け入れている国の国内建設産業に影響を与え、その影響は徐々に当該国の発注・契約方式/制度等に波及している可能性が高いことが確認できた。この知見は仮説の域を出ないが、今年度も調査を継続することとした。 ②その中でより特徴的な変化は、日本の設計施工、英米のデザインビルドの差異がより鮮明になり、端的には日本の設計施工一括発注方式が各国の法制度、職能性になじむ形で変化していること、日本の元請建設業者(ゼネコン)が日本国内で行っている「躯体図を描く作法」が徐々に国際的にも広まっていることなどがある。 ③その変化の誘因には、日本人の建築家や技術者が現地の制度に馴染む形で活躍していること、「躯体図を描く作法」は設計段階での意匠・構造・設備の整合性/統合、工事段階での設計と施工の整合性/統合、設計・施工両段階にまたがって行われる「もの決めプロセス」の一貫性とその合理性が当該国で実証的に示されていること等によるものと考えられ、より本格的な調査を行うこととした。 ④また、これらの知見は調査対象国それぞれの母国での変化の状況の確認、また、これらの状況と品質確保のしくみがどのようにかかわっているのかを確認する必要もあり、より本格的な調査を行うこととした。 ⑤国内外の研究協力者が参加した国際会議「第2回国際発注・契約研究会議」を一般にも公開して開催した。テーマは、各国の各種の発注・契約方式のなかで発注者、設計者、施工者の間の責任/リスク配分がどのように変化しているかの発表であった。約70人の参加で活発な意見交換が行われた。今年度も継続して開催する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.調査対象国に訪問、調査研究課題に関して調査を行い、研究実績に記述した知見を得ている。 2.当初の研究目的である「調査対象国での発注・契約方式と品質確保のしくみとの関係を詳細に分析し、国際市場での各国の品質確保のしくみの適合性、優位性を実プロジェクトに即して検証する」ことに関して、具体的に各国の差異と国際市場における適合性、優位性ならびに各国のやり方の融合過程の一端を明らかにすることができつつある。 3.国内外の研究協力者が参加した第2回国際会議が成功裏に開催できた。さらに、多くの参加者からはこの会議の継続を希望する声が出されている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度からの研究推進方法を継続するが、とりわけ、次の3点を中心に据えて研究を推進することとする。 1.これまでの研究から得た知見として、次の仮説がある。仮説「調査対象国では、発注者、設計者、施工者の間のリスク分担関係の変化とそれに伴って発注・契約方式/制度が流動化している。その流動化は海外企業を受け入れている国の国内建設産業に影響を与え、その影響は徐々に当該国の発注・契約方式/制度等に波及している可能性が高い。」この仮説の検証を行う。 2.本研究課題に通底している課題で、具体的かつ実証的に取り組むべき課題として、「日本の元請建設業者(ゼネコン)はなぜ躯体図を描くのか」がある。この「躯体図を描く作法」が徐々に国際的にも広まっており、一方でBIM(Building Information Modelling)への移行が喧伝されている。「躯体図を描く作法」は研究実績でも記述したが、設計段階での意匠・構造・設備の整合性/統合、工事段階での設計と施工の整合性/統合、設計・施工両段階にまたがって行われる「もの決めプロセス」の一貫性とその合理性の検証に重要な役割を担っており、その役割・機能を詳細に分析するとともに、国際市場でのその普及の過程を明らかにすることは今後の発注・契約方式ならびに品質確保のしくみの変化に大きな影響を与えるものと推察される。従って、より本格的な研究推進を図ることとした。 3.国際会議を開催し、そこに招聘した海外の研究協力者を当該国のキーパーソンとして活用・その関係を維持する。
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Research Products
(14 results)