2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246107
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 理 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60212081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 宏 名城大学, 農学部, 教授 (30157416)
小野 芳朗 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50152541)
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80151372)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市基盤史 / 都市計画史 / 土木史 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
昨年計画した、テーマごとの分科会の設立は見送られた。それは、各テーマに分節しても、いずれにも共通する空間構造が指摘できるという議論からである。そこで、今年度も昨年と同様に分担者と連携研究者を中心に、年間で以下の12題の研究発表を行い議論を行った。 (1)1930年代後半以降の京城・仁川・京仁地域の工業化と都市計画の役割、(2)山代温泉地における湯の権利問題と空間について、(3)日本の植民地都市から社会主義の都へ:平壌レポート、(4)植民地社会と顕彰空間―台南北白川宮能久親王御遺跡所の空間形成、(5)社寺空間と近代京都―創建神社、古社寺保存、御所をめぐって、(6)東京府風致協会聯合会機関誌『風致』について、(7)近代都市と遊廓、(8)米の記憶をたどる軍港都市呉の住宅地化―呉鎮守府水道並びに呉市水道布設に伴う旱害補償交渉、(9)近代における古代の道の発見と景観創出 -奈良・山辺の道の形成史、(10)リチャード・パーキンス・ブリジェンスについて、(11)戦後那覇の都市形成と「空間の政治」、(12)沖縄の歴史的な民俗空間を戦後の社会基盤整備の中で位置づけ継承するための諸課題。 昨年度の今年度の議論を通じて共通した空間構造として浮上してきたのは、植民地や沖縄などに典型的に表れる支配・被支配の構造、温泉や遊郭といった特殊な場所に表れる管理・被管理の構造である。そして重要なことは、この空間構造のあり方が、為政者(計画者)と住民(受容者)という、これまで空間の建設行為や都市計画の議論の中心となってきた関係構造では説明がつかないものであることである。被支配者・被管理者であるはずの住民が、主体的に実際の空間を築いたりする場面が数多く見られたし、一方で支配者・管理者の側が、実際の空間を実現できずに、あるいは実態を伴わないイメージとしての空間演出に専念するような事態もありえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画されていた年6回の研究会を実施し、その議論により成果をあげた。研究会の議論において、新たな知見を獲得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度計画した分科会に代わり、今年度はこれまでの成果としての支配・被支配の多様な関係構造という昨年度に浮上した大きなテーマに基づき、これまで研究会で取り上げた事例について整理し、その上で絞り込んだ小テーマに基づき、昨年度までと同様な型式で研究会を開催する(年6回計画)。その上で、昨年計画していた京都工芸繊維大学美術工芸資料館の展示施設を利用した展示計画をまとめる。これは、支援期間最終年の全体の報告書作成に向けて、その前年度(来年度)にヴィジアルな型式での展示という形での検証作業であると位置づける。
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Research Products
(5 results)